
『2014年 タベアルキスト和久井の印象に残ったこの10軒』
6軒目
静かな住宅街の地下に佇む隠れ家的な鮨屋。
清潔感漂う店内は、広々としたカウンターに畳の個室があります。
ご主人の福元敏雄氏は「すし処 澤」で板長を務めた後、2005年3月に自らの名を冠した「鮨 福元」を開店しました。
タネによって食べ頃があるという持論の下、素材がもつ本来の味わいが引き出された鮨を提供している。
鮨の特徴は、この店独自の手法を施したシャリだといえる。
こだわりのシャリは、水分がとんでいる古米に海藻に海水を含ませて作った藻塩と江戸前酢の原点に立ち帰った伝統的赤酢を組み合わせたもの。
温度も固さも味にぶれがない、記憶に残るシャリです。
また、この手の店には珍しくブログで毎日の仕入れ状況を公開しています。
その日のタネは産地はもちろん、数か月前の産地までわかります。
こちらのシャリは独自性が強いですが、シャリとネタが合一した鮨は本当に素晴らしいものがあります。
【握り】
●出水 墨烏賊
肉が厚く、ねっとりとした歯ざわりと濃い甘味を持ちシャリとも絶妙な味の
からまりあいを見せる。
●勝浦 平政
口に入れると回遊魚ならではのほどよい酸味があり、爽やかさが感じられる。
●勝浦 本鮪
ルビー色に輝く厚めの切身は冬に比べ脂は少ないが、きれいな酸味が感じられ味わいも軽やか。
頬張ると、硬めなシャリがはらりとほぐれてネタと見事にからみ合う。
●天草 小鰭
藻塩と酢の絶妙の締め加減で身が締まり、爽やかな味わいに。
ほどよい脂の甘味と酸味が絶妙で、シャリとの相性が抜群。
●閖上 赤貝
香りと旨味を生かす為、握る前に殻を剥き提供される。
甘味に加えてほのかな鉄のような匂いと磯の香りがからまりあう。
また、こちらのシャリが赤貝ならではの清洌な風味を生む。
●安泰 車海老
身の大きさもほど良く海老の濃厚な旨味を存分に楽しませてくれる。
●桑名 煮蛤
身が厚くて柔らかいのが特徴。
噛みしめるほどに貝のエキスが口の中に溢れ出す。
●松浦 穴子
出される直前に軽く炙って提供される。
甘味と旨味をダイレクトに味わえる控えな味付けで、ふっくらとした食感が快感。
●函館 紫海胆
海苔を使わないので、紫海胆そのもの上品な香りと甘味がしっかり楽しめ
磯の香りが口一杯に広がる。
●鉄火手巻き
手巻きにすることで、海苔が鮪の違った良さを引き出している。
●あら汁
滋味豊かな味わい。
●小鰭巻
シャリと小鰭の酸味の合わせ技がいい。
●カッパ巻き
胡瓜のみずみずしい歯ごたえとわさびの辛みが見事に調和している。
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