
謙虚、誠実、明朗、快活 職人堅気の極みに魅せられる
目白通りから一方通行の細い道を入った所に普通に佇むこのお店、実は有名な財界のトップや芸術家を唸らせる隠れた超実力店なのだ。宣伝もしない、ショップカードや名刺も作らないこだわりようだ。
店内にはL型カウンターが背中合わせに2セット。一つはウェイティングカウンターらしい。
喜寿を迎えるという大将。料理には超絶のプライドを持ちながら、謙虚で快活で、声がデカくて誠実。それぞれの特徴的要素が自分の会ったことのある職人さんを完全に振り切る強さだ。「あー、これが寿司職人の真髄なのか」タイムスリップしたみたいだ。
匠の技が尽くされた最上質な料理、会話のキレや粋内容にすっかり魅せられた。
これぞ日本の誇れる文化。
■岩牡蠣
大きめの身は3つに切られている。磯感、ミルキー、ミックスとそれぞれ美味し。
■帆立貝柱の磯辺焼【絶品】
女将さんが焼き場で炙った熱々の帆立にペロッとたれを塗ってパリッとした海苔で挟む。熱々で頂く。貝柱の甘みと焦げた醤油の香ばしさに海苔の磯の香りが加わり、とても立体的な美味さに。
■平貝にぎり
さっきまで生きていた5年ものの平貝の貝柱。コリコリした食感が心地よし。
■鮑にぎり
軽く炙ってある。網目の焦げ目が香ばしく、心地よい歯ごたえと弾力性が上質を物語る。
■トロたく【名物】
なんとトロたくの細巻きはこのお店が発祥だとか。沢庵の歯応え、シソの香りにトロの芳醇さがシャリで広がって、海苔で締まる感じだ。なるほど、これが本物!
■雲丹といくらのせご飯【絶品】
深いコクのある塩水雲丹と濃厚いくら。小さなスプーンで永遠に食べ続けたい贅沢の極み。こりゃたまらん!