5回目の訪問。 La Clairiere(ラ クレリエール)は通常はコースを提供しているが、コロナ ウィルス禍で営業時間の短縮要請に応じるべく、今の時期はアラカルトで営業している。アラカルトと言っても、アミューズ ブーシュ二皿や口直しも出てくるので、ちょっとしたコースみたい感じだ。アラカルトの選択肢が豊富なのには驚いた。食べる側としては嬉しいが、提供側の食材管理は大変だろう。 アミューズ ブーシュの一皿目は、定番のブーダン ノワールのバーガーなど4種。少量ながら旨味が濃縮されている。 アミューズ ブーシュの二皿目は、雲丹と掻き玉子の上にキャビアを乗せた品。しつこくない程度に濃厚な味で、トロリとした食感も見事だ。 前菜として選んだのは、真鱈の白子のパン粉焼き。 白子の焼き方が卓抜で、中心部はネットリとした食感で、外側は少しカリッとした感じだ。ネギなどの野菜も添えられ、更にポルト酒のソースも使われており、重層的な味だ。 主菜として選んだのは、スペシャリテの鮑。鮑を昆布で包み、メレンゲと塩釜で加熱している。鮑は産地を変えて、ほぼ一年中提供している。塩釜焼きは古くからある調理法だが、昆布やメレンゲも使うのは、シェフの試行錯誤の成果だそうだ。出来上がった鮑は、柔らかさと弾力という相反する食感を両立させている。鮑の肝から作ったソースは、磯の香を湛え、苦味も有り、出色の出来だ。 デセールのアイスクリームやお茶菓子のカヌレも上質。 全体的に料理は、古典に基きながらも重過ぎず、とても印象的だ。 接客は円滑で、シェフも時折顔を出して直接料理を説明してくれる。 満足した。
