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花しょうぶ

はなしょうぶ

予算
~1000円
~1000円
最寄駅
JR川越線 / 西川越駅(4.9km)
ジャンル
和食
定休日
毎週火曜日

島崎藤村さんが、突然現れて、「川遊びに行こう」と宣う。 「投網で、鮎を捕ろうよ」と仰るので、ご一緒した。 「川島町の越辺川(おっぺがわ)と入間川が落ち合うところ。 ここに、伊草の渡しってぇのがあってね」 私は、おずおずと、申し上げた。 「島崎さんが、ここに来られていたのは、昭和8(1933)年頃。 それから、85年経つんです。 今では、鉄とコンクリートの橋がかかって、鮎も捕れないそうです」 「それじゃあ、舟宿の小澤屋は? 堀口大学とか、文士仲間と、よく遊びに行ったのだ。 いつも、あそこで、捕った鮎や、鯉や鰻を喰っていた」 「小澤屋さんは、まず、川辺から堤の向こうに店を移されて、川魚料理屋となられました。 そして、2008年に廃業されたそうです」 「もう、何も残ってないのかい」 島崎さんは、愕然としている。 「実は、小澤屋さんの立派な日本家屋が残されています。 そこに、2017年9月16日、『花しょうぶ』というお店が開業しました」 島崎さんと二人、川堤を越えて、『花しょうぶ』へ向かう。 堤の此処彼処に、紅い彼岸花が咲いていた。 風合いのある日本家屋。 二階建てで、一、二階ともに同じ様な造りとなっている。 川堤の側に広い硝子窓。 窓に沿って廊下、廊下に沿って障子、障子に沿って客室となる。 琉球畳の上に、椅子とテーブルが並んでいる。 客室に届く外光は、穏やかだ。 「冷やしぶっかけと握り寿司三種」1,200円をいただいた。 〈ざる・かけ〉と〈うどん・そば〉が選べるというので、〈ざるうどん〉をお願いした。 野菜サラダ、デザート、コーヒー付。 コシの確りとした、うどん。 ネギと山葵だけでなく、海苔、天かす、オクラ、山芋も付いてくる。 組み合わせを愉しみながら、食べ進める。 握り寿司三種には、玉子焼き2枚もついている。 デザートは、「フレンチトーストの抹茶かけ」。 歴史ある建物に、新しく開いたこのお店に似つかわしい。 「これ見てよ」と、島崎さんが壁に貼られた、舟の写真を指さす。 「左から3人目の麦藁帽子が俺。懐かしいな」 そう言う島崎さんの姿が、すーっと薄れていく。 もう、島崎さんには、その頃のことしか見えていないようだ。 声だけが、堤の彼岸花を越え、川向うへ還っていく。 「青い葦が生い茂って、よしきりが鳴いているね。 小雨が降っていて、却って静かでいい。 東京の近くには、こんな心持ちのいい場所は少ない。 ものさびた橋畔のここの家で、静かに皆と話をするという気持がこの上なく好もしい」

南 たすくさんの行ったお店

花しょうぶの店舗情報

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ジャンル
  • 和食
営業時間
定休日
予算
ランチ
~1000円
ディナー
~1000円

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住所
アクセス
                                        ■駅からのアクセス                        
                JR川越線 / 西川越駅(4.9km)