【アジの味噌たたきに、稚鮎のフライで温燗を】 この喧騒もわずかに落ち着きをみせ、こちら練馬の 名酒場も時間、品書きをしぼって、店内での営業に 舵をきった。 夜もふけたころに、暖簾をくぐり、半開きの扉を あけると先客の姿はなし。暖色の灯りに照らされる 店内をすすみ、奥の所望の席に腰をおろす。 まずはビールで喉を潤す。 あぁ、ひさびさに外で呑むビールは格別の味だ。 これを呑みながらお通しをつつき、手わたしされた 品書きをながめると、品数は少ないが、これで呑む のには充分な布陣で、その中からえらびましたのは *アジの味噌たたき(850円) *稚鮎のフライ 梅のタルタル(650円) これが運ばれるころに合わせて温燗を。 美しい杯に燗酒をかたむけ、ちびちびと呑む幸せ、 やっぱり日本酒は家ではなく、酒場で呑むのがよく アテが良ければなお良し、言うことがない。 この日の酒肴もまた酒がすすむ出色のもので、 ねっとりとしたアジは味噌の風味よく、かぼすを ちらっと数滴しぼりいただくと味もふくらんで、 白胡麻の香り、プチっとした歯ざわりに、大葉と まとめて口にほおれば、嗚呼、至福かな。 そして、稚鮎のフライ。 薄衣はさくっと歯いれよく、中で蒸された稚鮎は ふっくら、特有の苦味もじわっとひろがり、これは 酒だといそぎ、燗酒を重ね、一口一口たのしむ。 稚鮎の他にも器には揚げものがのせられており、 とうもろこしに新玉ねぎ、これらがまた美味かった。 とうもろこしは、揚げられ、甘さ、歯ざわりが 際立ち、新玉ねぎはふっくら、丸みのある味で、 シャキッとした繊維質、目をつぶりシャキシャキ、 こめかみに響く音、振動もまた酒をすすませる。 ふぅっと一息、嗚呼、やっぱり店でいただくのは 格別の味だ。 今宵は、酒も深くなりすぎず、ほろ酔いで打ち止め。 途中、営業時間の中であったが、店主が外の暖簾を おろし「ゆっくりして行っていいよ」という言葉を かけてくれ、互いに杯を交わし、ポツリポツリと、 何気ない日常の話をして、店をあとにする。 普通のこと、その有り難みを噛みしめた夜だった。 練馬 酒場 温燗
Hirotaka Kawasakiさんの行ったお店
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YOU
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グリルエフ
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あげづき
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スタミナ苑
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麺屋 音
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くぐつ草
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