広告の眩しさが 目の前を過ぎていき 地下鉄の車窓に 私が映る。 何か ... 慕っている人に、初めて 会うかのような ... そんな 顔だった。 赤坂駅から程なく歩くと 冬なのに春めいた「あかり」を 宿した店があった。 引き戸を開け一歩進むと 博多になかった 新しい世界が 待っていてくれた。 席に座り料理を待つ。 二千ケルビンもない やわらかな電球色が膨らみ しなやかに料理を作る音が 身を落ち着かせる。 「じゅう」と フライパンに何かが乗った音が 耳に響いてくると胡麻油の香りが 上昇せず、ゆるりと目線に漂う。 ・お通し キンピラゴボウ 新鮮なゴボウのせいか食感が良く 生きていた。甘くもなく辛くもない 丁寧な煮汁をゴボウがしっかり 吸い込んでいる。 牛肉の柔らかさも良い。 店が見えた。 ・深夜食堂の長イモのソテー 漫画「深夜食堂」に掲載された 「あかりや」の代表作。 オリーブオイルが長芋を覆い 香ばしい醤油で長芋の味が跳ねる。 小さくバラつく塩は万人に愛される 仕上げを施し、普遍に辿り着いた。 絶品だ。 ・ピータンの白あえパクチーのせ チョコレートパフェの様な 可愛らしいつくり。 生クリームの様にふんわりとした 柔らかな白あえと 熟され、歯応えあるピータンが 互いを伸ばし新しい味が 生まれた。 頭から散らされた中華油が 食欲を掻き立てる。 ・若鶏唐揚げ山椒風味 熱熱の大きな唐揚げを小口でいただく。 サクっとした食感に思わず微笑む。 不思議と重たさはない。ニンニクや 山椒の味を帯びた個性ある唐揚げだ。 ・大人のオレオ たくあんの燻製(いぶりがっこ)と クリームチーズのマリアージュ。 スモーキーな味にソフトで甘いチーズが ピタリと合う。初めての味に衝撃が走る。 奇抜な発想。 珍味であり美味。 ・深夜食堂の豚汁 器いっぱいに盛られた野菜。 大きく切られた里芋が 今にもこぼれそうだ。 良い出汁と良い味噌加減。 そこに野菜、豚肉の旨味と 里芋のとろみが付いた 〆として最高の一杯だ。 ・地酒蔵ウィスキーのハイボール ・鳥取 山陰東郷 ・奈良 生酛のどぶ 全て胸まで染みる美味さだった。 それは、 15年も東京で親しまれた証だろう。 料理で映えた燗酒の喜びさえ 聞こえた。 ぼんやりとした、光に 照らされた店内は 小声で「ざわざわ」 皆、小バコを心得る。 窓の外を覗くと 寒さのせいか 人や車が表情なく すれ違う。 ここは暖かく温かい。 都会の時間に流されない 「あかりや」の時間がある。 もはや満たされた心身に ふと、誰かに囁かれた気がした。 「愛」 シンプルだが難しい言葉。 女将から、それを感じる。 だから人を惹きつけるのではない。 町が彼女を必要とした。 シンプルな答えだった。
梅崎桜丞さんの行ったお店
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博多料亭稚加榮 福岡店
赤坂駅 / 日本料理
- ~2000円
- ~15000円
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おぐら本店
宮崎駅 / 洋食
- ~1000円
- ~2000円
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鹿児島ラーメン 豚とろ 天文館本店
市立病院前駅 / ラーメン
- ~1000円
- ~1000円
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博多だるま
渡辺通駅 / ラーメン
- ~1000円
- ~1000円
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梅山鉄平食堂
渡辺通駅 / 魚介・海鮮料理
- ~1000円
- ~2000円
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狐狸庵
白木原駅 / うどん
- ~1000円
- ~1000円
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唐戸市場
ノーフォーク広場駅 / 魚介・海鮮料理
- ~2000円
- ~30000円
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とんかつ川久
都通駅 / とんかつ
- ~2000円
- ~2000円
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のり一
高見馬場駅 / ラーメン
- ~1000円
- ~1000円
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銀座千疋屋 銀座本店 フルーツパーラー
銀座駅 / フルーツパーラー
- ~2000円
- ~2000円
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レストラン 東洋軒
別府大学駅 / 中華料理
- ~2000円
- ~3000円
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鈴懸 本店
中洲川端駅 / 和菓子
- ~2000円
- ~2000円
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釜揚げうどん 戸隠 本店
宮崎駅 / うどん
- 営業時間外
- ~1000円
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大安
市立病院前駅 / 居酒屋
- 営業時間外
- ~3000円
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俺のフレンチ 博多
博多駅 / フランス料理
- ~4000円
- ~4000円
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博多魚がし 市場会館店
赤坂駅 / 寿司
- ~1000円
- ~2000円
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ニクゼン 大名店
赤坂駅 / 丼もの
- ~1000円
- ~5000円
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天文館 吾愛人 本店
天文館通駅 / 魚介・海鮮料理
- 営業時間外
- ~4000円
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丸万焼鳥 本店
宮崎駅 / 焼き鳥
- 営業時間外
- ~3000円
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ハングリーヘブン 福岡今泉店
西鉄福岡駅 / ハンバーガー
- ~1000円
- ~2000円