「こんなとこにそんな店あるの?」 いかにもディープな雰囲気のただよう堂山町の細い路地に入ると、妻は眉をひそめた。らしいね、と私はいいかげんな返事をした。インターネッツで調べて来たものの、この辺りに果たしてそんな若向きの喫茶店があったかどうか、過去に幾度か通りすがったことのある私も半信半疑だった。 「あ、ここは有名なゲイバーやね」 妻は日傘を肩に掛けて眩しそうに看板を見上げ、フェ~、と生返事をした。私はスマートフォンをポケットに仕舞い、小路を挟んで向かいにあるレンガ調の建物 “ACTⅢ” に踏み入れた。 カフェニオン豆吉 ナポリタン “ACTⅢ” の一階奥は吹き抜けに開けており、短い階段を上がったすぐ横に、情報にあった通り宙に飛び出したような造りの、その店舗はあった。外観はちょっとした特撮ヒーローものの秘密基地のような、謎めいた怪しさを放っていたが、その感覚に応ずるような、妙にかっこいい “ナポリタン” の貼り紙に惹かれ、私は躊躇いなく戸を開いた。入ってすぐ脇には民放を流す中型のテレビ、大小のテーブル、左手に高めのカウンター席があり、その奥の壁には、付け睫毛について歌うパミュパミュ某が大きく投影されていた。シンプルな白塗りの壁に真っ赤な戸枠、いたる所に熊の縫いぐるみが置かれ、ゴシックめいたカーテンと、クロス無しの木目テーブルに、シックな食器棚…。私はこの不思議な空間を、一括りに形容する言葉を持たなかった。 …(中略)… 運ばれてきたナポリタンはケチャップがたっぷり使われていて、ばっちり “昭和のスパゲッティ” だった。飾り気のない皿に盛られたそれをフォークで巻いて頬ばり、私たちは「これこれ」と笑顔を見合わせた。甘いような、すっぱいような、なんだか懐かしいその味は、実に堂々たる庶民の味方づらで次のひと巻きを誘った。 …(中略)… 「ねえ次は?」 妻は屈託のない笑顔で、しかし貪欲に素敵な場所、美味しいものを求める。 「隣の中崎町にい~い雰囲気の純喫茶があるよ」 先に歩き始めた私の後ろでいそいそと日傘を開きながら、妻は今日一番のいい返事をした。 御馳走様。
梅田、中崎町駅近くのカフェ
口コミ(1)
カフェニオン豆吉の店舗情報
店舗基本情報 修正依頼
ジャンル |
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営業時間 | |
定休日 | |
予算 |
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住所 修正依頼
住所 | |
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アクセス |
■駅からのアクセス 大阪メトロ谷町線 / 中崎町駅 徒歩3分(200m) 大阪メトロ谷町線 / 東梅田駅 徒歩7分(510m) JR東海道本線(京都線)(京都~大阪) / 大阪駅 徒歩9分(690m) |
座席 修正依頼
席数 |
12席 |
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カウンター | 有 |
喫煙 |
分煙
※健康増進法改正に伴い、喫煙情報が未更新の場合がございます。正しい情報はお店へご確認ください。
[?] 喫煙・禁煙情報について |
個室 | 無 |
サービス・設備などの情報 修正依頼
利用シーン | 喫煙可、食べ歩き |
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