日本料理の名店で研鑽を積んだ荻野聡士氏が、旬の食材を最大限に活かし、季節感を重んじた極上の料理を提供する「赤坂おぎ乃」。 伝統と革新が調和する一皿一皿に、確かな技術と美意識が息づく。 季節ごとに通いたくなる、今もっとも輝く日本料理店の一つ。 店は東京・赤坂の一角にひっそりと佇む。 扉を開けると、白木のカウンターが眩いほどに美しく、清潔感に満ちた7席のみの空間が広がる。 店主自らが一つひとつの料理を目の前で仕上げ、香り、音、所作までもが五感を刺激する。 店主の荻野氏は、京都「嵐山吉兆」、銀座「小十」「奥田」などの名店で修業を重ね、2020年に独立開業。 コロナ禍を乗り越え、その確かな技と真摯な姿勢が多くの美食家を魅了し、いまや予約困難な人気店となっている。 ──── 〇 生ビール まずはビールをお願いして喉を潤す。 本日は重陽の節句。 邪気を祓うとされる菊をテーマにした献立。 荻野さんから料理の説明を受け、期待が高まる。 〇 菊酒 ひやおろしに菊の花の香りと共に、盃で一気に飲み干す。 上品な香りが鼻に抜け、秋の始まりを感じる一杯。 ▪️先付 穴子に蓮根、蕎麦の実、山葵、菊の花を添え、とろみのある出汁餡でまとめる。 穴子の柔らかさと餡の旨味が調和し、口の中で優しく広がる。 ▪️前菜 いくら、塩水赤雲丹、噴火湾毛蟹ほぐし身。 車海老、ほうれん草のお浸し、みずの実、炭火で炙った山えのき。 黒酢のゼリーとともにいただく。 海の香りと酸味のバランスが心地よい。 ▪️椀物 白甘鯛に桜と松茸を添え、鰹節一番出汁を使用。 まずは出汁を一口。澄み切った旨味が体に染み渡る。 白甘鯛は愛媛の漁師・藤本純一氏からの仕入れ。 丁寧な仕事が伝わる一椀。 〇 王禄 八〇(はちまる)精米80% ふくよかで奥行きのある香り。 食中酒として料理との相性が良い。 ▪️お造り お月見盆にうさぎの器を添えて。 三重産トロ鰆の藁炙りを、たら白子醤油またはちり酢ゼリーで。 藁の香りと鰆の脂が美しく交わる。 ▪️お造り 北海道厚岸産 本鮪大トロ・中トロ。 備長炭で香りを纏わせ、自家製海苔佃煮と長芋を添える。 黄身醤油がとろりと絡み、上質な甘みを引き立てる。 ▪️煮えばな 芯をわずかに残した炊きたてのご飯。 一瞬の火入れで、米の香りを最も感じる。 ▪️焼物 アカムツ(ノドグロ)の味噌幽庵焼き。 蒸した栗を削って敷き、舞茸の素揚げと黒イチジクを添える。 甘辛い味噌と栗の甘い香りが調和する上品な一品。 ▪️八寸 重陽の節句を映した美しい盛り付け。 菊や紅葉をあしらい、秋の川辺の情景を表現している。 彩りの豊かさに思わず顔がほころび、目にも楽しい一皿。 一品ごとに食感や香りが変わり、味の移ろいをゆっくり楽しめる。 ・柿と豆腐ソースの白和えは、柿の甘みと豆腐の滑らかさが優しく溶け合う。 ・小豆と煮込んだ蛸のやわらか煮は、ほのかなからしの香りが心地よい余韻を残す。 ・焼き茄子と茶豆のずんだ和えは、香ばしさと青豆の風味が爽やか。 ・トマトゼリーが全体を軽やかにまとめる。 ・つぶ貝の肝和えは、煎りたての胡麻の香りが深みを加える。 ・スッポンの茶碗蒸しは、葱と生姜を溶きながら味わうと、体が内側から温まる。 ・鴨のローストは、赤ワインソースと粒マスタードの酸味が絶妙。 ・5種の江戸ハーブサラダは、グリーンレモンの香りで清々しく締めくくる。 中でも印象的だったのは、スッポンの茶碗蒸しと鴨のロースト。 スッポンの茶碗蒸しは、出汁の深い旨味と生姜の香りが重なり、体の芯から温まるような味わい。 鴨のローストは、しっとりと火入れされた肉が驚くほど柔らかく、噛むほどに旨味と脂の甘みが広がる。 赤ワインソースの深みと粒マスタードの酸味が鴨の濃厚な風味を引き立て、八寸の中でも特に印象に残った。 ▪️揚物 シルクスイートを使用した焼き芋の天ぷら。 外は軽く中はしっとりと甘い。 ▪️揚物 タチウオの天ぷら。 トロ茄子、香茸(和製トリュフ)を添え、おろし餡で。 ふっくらとしたタチウオの身と、香茸の芳醇な香りが印象的。 ▪️鍋物 鱧と松茸の鍋。 花のように開いた鱧の身が美しい。 この時期の鱧は脂の乗りもよく、旨味が濃い。 骨と頭からとった出汁に、すだちを搾って爽やかさを添える。 ▪️ご飯物 炊きたての白飯に香ばしいうなぎを乗せた丼。 身はふっくらとして脂がほどよくのり、外はパリッと香ばしい。 焼きの技術も素晴らしく、炭の香りが後味に心地よく残る。 なめこ汁とぬか漬けを添えて、最後まで余韻を楽しんだ。 一切れは持ち帰りの弁当にし、翌日の楽しみにした。 〈コメント欄へ続く〉
駅から近い
カウンター席あり
禁煙
クレカ決済可
おひとり様OK
四季を映す美しい日本料理と心を尽くしたおもてなし
赤坂にあるカウンターだけの隠れ家で、伝統と創造が融合した日本料理を季節ごとに堪能できます。熟練の職人による旬の素材を活かしたコースは、彩り鮮やかで盛り付けや器にも工夫が凝らされ、料理ごとにストーリーや文化の説明も添えられています。特にお椀やお造り、八寸は季節行事や日本の風習をテーマに、芸術品のような美しさと味わいを両立。極細素麺に鮑のすり流しといったスペシャリテや、炭火で香ばしく仕上げる一皿も好評です。また、ご飯物やデザートも素材本来のおいしさが生き、食後まで心豊かな時間が続きます。少人数の落ち着いた空間で、店主やスタッフの丁寧な説明と行き届いた気配りもこの場所ならではの魅力。日本文化への造詣が深まる、五感で味わう上質なひとときを過ごせるお店です。


























