いつも通りテレビを観ない生活を送っている。いや、オリンピックが始まったから興味のある競技だけは観たり観なかったり。え?開催反対しているクセにオリンピックに接するのはおかしいのでは?なにを言ってるのか。物事にはいくつもの側面があるのだ。 どうみても安心安全ではない運営と、熱い闘いを繰り広げるアスリートたちとは違うものだ。いったいいつから日本国民はこんなに融通の効かないバカになってしまったのか。所詮人間は生身の生き物でしかない。その場その時の事情や状況をかい潜り生きていかざるをえないのだ。 そうだそうなのだ 人間は多面体の生き物なのだ。自ら構築した主義・主張を貫き続け、通せなくなったら自らその命を断った哲学者がいたがそんな格好の良いことが出来るものなど他にはいない。とくに私のような、日々なんとなく貫き通すことも出来ずなんとなく生きて行かざるを得ない。 川中島四ツ谷から今井へ抜ける道路はなんという名前なのだろうか。畑と水田を貫く見晴らしのよい道筋はとても気持ちがよい。その途中の道沿いに「とんかつ」と記された小さな看板があるのは何年も前から知っていた。その度に気にはなっていたのだが、いつもタイミングが悪く立ち寄る事が出来なかったのだ。よし行ってみよう、というのはいつもの気まぐれ以外のなにものでもない。 「とんかつ とん治」 看板のところを曲がり細い道をしばらく行ったところにこの店はある。自宅を利用したと思しき店舗とその前にある広い駐車場、そして周囲の景色は典型的な長野市郊外の風景に取り囲まれている。 到着したのが11:20、開店は11:30なのでしばらく待たざるを得ないかな。と思っていたら門前に大きく『営業中』と掲げられている。中を覗くと玄関先にも同様の看板が置かれている。10分程度の違いはよくあること、ましてや個人店なのだからこんな事もあるだろう。 「こんにちは、いいですか」 と言いながら入るとマダムが怪訝そうな、いや少し不機嫌そうな顔をしている。“なんで入ってくるのだ”と言わんばかりの表情となったが、後ろからご主人らしき方が 『いいんだいいんだ、オレが看板出したんだ』 と招き入れてくれる。 一番奥の広い席を陣取りメニューの確認。手描きの「御献立」が優しく好ましい。通常メニューもあるようだが、ランチメニューにそそられたのはそのイラストが可愛らしかったからだ。エビフライがあり得ないほどか細くてなんともいえない愛らしさを放っている。さすがに実際はここまでではなかろうが。エビフライにしようかと悩みつつ、ここは初訪問らしくスタンダードとしよう。という事で注文はこちら 「ロースカツランチ」1078円 100gというから少し小さめかな?と想像していたが案外と大きなトンカツ。100g以上あったのではないか。衣しっかりでパリッとしたタイプ。こういうのはソースだばだばで食べるのがよい。ご飯は少々重めだがこの方がとんかつ屋っぽい風がある。 「串かつ(2本)」330円 とはいえロースカツだけではどことなく物足りない。という事でサイドメニューを注文。肉、玉ねぎ、肉、玉ねぎという古典的なあり方の串かつだ。そういえば縁日で食べたよな、こういうやつ マダムが面白い 入ってきた時の表情もそうだが、その後メニューの置き場所が気に入らなかったのか私の傍らからサッと取り上げ所定の位置に戻したり、別に注文したコーヒーは勝手にアイスを持ってきたり。神経質なのかな?とも思ったが、気さくに話しかけてきたり。ああそうか、こういうタイプの人なんだね。と、納得したら気にならなくなった。「孤独のグルメ」とか「絶メシロード」に登場する無愛想な店主と同じなのだ。ここは私の店だから私のルールで進めるのだ。じつに清々しい。 後で調べてみたら案の定、口コミが分かれている。あんなところ2度と行くものか、コンビニの対応未満!とか、みんないうほど悪くないよね。いやいやこんなものじゃない?私など後者であるが、やはり人間は多面体。いろいろな見方見え方見せ方があるものだ。これだから面白くてならない。
口コミ(1)
オススメ度:70%