浅草には思い出があり過ぎて、一人でブラつくと切なくなる。 煮込みを食べたり、お好み焼きを焼いたり、蕎麦を手繰ったり、燗酒を飲んだり、電気ブランで乾杯したのも、みんな浅草だ。 だから、浅草で一人で呑むには多少の勇気が必要だったりする。 それには、ボクしか知らない浅草を見つける必要があった。 浅草も吉原に近い千束あたりになると、思い出も何も無くなる。 今夜はここに決めた。 森田屋@浅草千束。 自慢でも反省でもなく、いい年をして情けない事とも言えるが、意外にも吉原に足を踏み入れた事がなかった。 子ども時分から上野〜浅草界隈に住む者にとっては、近所過ぎて恥ずかしいのである。 大概のオトコが隣町までHな本を買いに行く心理と同じだ。 森田屋はその吉原を信号ひとつ隔てた場所にある。 結構広い店内だが、気のいい女将が一人で切り盛りしていた。 「いやー、仕事先の押上から歩いたら結構あるんだなー。参りましたよー。」 などとワザと大きな声で言って、「吉原帰り」ではない事をアピってみる。 大概の男性客がボクと同じ態度を取るのか、女将は何も聞かなかった顔をして、キリンラガーを注いでくれた。 自慢の牛煮込みと鶏のからあげ。 他では味わった事のない独創的な味付け。 それでいて、奇をてらっている訳ではなく、優しい。 またすぐに、ボクしか知らない浅草を見つけなければいけない気がした。 #居酒屋東京 #マイベスト2013
趣のある造りのお店。もつ焼き・牛煮込み・串焼き、手作りのジュース割など








