キリ番1,400投稿目は港街の古典酒場です。
ずっと行ってみたかったお店。第4土曜以外の土日祝休みとあってなかなか伺う機会がなく、振替の平日休みに念願叶っての訪問です。路地裏にひっそり佇む一軒家。まるでそこだけ時が止まったような鄙びた店構えです。16時の口開けと同時に入店。カウンターの一角を陣取ります。
数多の飲兵衛たちが思い思いの時を過ごしたであろう、年季の入ったカウンター。すすけた壁と天井、年代物の業務用冷蔵庫に特注の銅製酒燗器、素っ気ない裸電球と、とっくに不惑を超えたおっさんが年甲斐もなくときめいてしまいます。
お通しの古漬けのお供にまずは『生ビール』。それと名物『湯豆腐』を。大鍋から供される湯豆腐。せっかくだからと一丁をお願いしたら「大きいけど大丈夫ですか?」と制止が入ります。確かにサイズは大ぶり。大人しく半丁にしてもらいます。
半分に切られた豆腐にたっぷり練り辛子が塗られ、バサっと刻みねぎと鰹節、醤油がかけられて完成です。かの太田和彦氏が提唱する“日本三大居酒屋湯豆腐”が盛岡のとらや、伊勢の一月家、そしてこちら、横須賀の銀次ですが、残念ながら盛岡のとらやが閉店となったため、現在は“二大居酒屋湯豆腐”に。一月家には先日伺ったので図らずもこれで名居酒屋湯豆腐制覇となりました。
力強い食感の木綿豆腐。たっぷり塗られた練り辛子は、辛さはほどほどでほわっと鼻に抜けるフレーバーが絶妙です。香りの良いフレッシュなねぎがたまりません。鰹節がまた変わっていて、ふりかけ状のフレークのようなもの。旨味が詰まった感じがとっても美味しいです。
一月家の湯豆腐は滑らかさもあり女性的な感じでしたが、銀次のどっしりした湯豆腐はとっても男性的。この力強い味わいは横須賀ではポピュラーなホッピーにも合いそうです。
湯豆腐で生ビールを2杯片付け燗酒にスイッチ。伏見のお酒、招徳です。屋号を銘した白磁の徳利。スっと細長いシェイプはどこか上品さを感じます。お供は『地だこ刺身』。味の濃い身がふくよかな招徳の味わいを受け止めます。
続いて『しこ刺身』を。たっぷりのカタクチイワシを皿に盛り、ねぎと生姜をバっとやり醤油を回しかけて仕上げます。銀色に美しく輝くピンピンなイワシ。量もたっぷりで、これだけで熱燗2本が空いてしまいました。
口開けはそのお店の真髄を垣間見れる時間。手慣れた様子で注文を通すご常連達は、お店の方と会話をするでもなく黙々とお酒と肴を片付けていきます。店内に流れるのは“コッコッコ”という湯豆腐に使う鰹節を削る音にTVの音。ご常連のみなさんはこのお店の品の良い静寂さを大事にしているのかな。
気づけばそろそろ2時間。グループのお客さんも増え、お店もずいぶん賑やかに。それと正比例するように、口開けで入ったご常連が次々に席を立ちます。お店がよそ行きの顔に変わる時間。長居は無粋ですね。そろそろおいとましましょう。
大女将にそろばんで勘定いただきお会計。近くを訪れたら夜空を舞う蛾よろしくまた裸電球に吸い寄せられてしまいそうです。
ずっと残っていてほしい市井の銘酒場。
ごちそうさまでした!
#酒場
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