3月以来のてるてる坊での昼食となる。 本日は珍しく予定が立て込んでおり、食事の時間をしっかり取ることが出来そうにない、したがってちゃっちゃと行ってパッパと選んでサッサと食べられるシステムのこちらを選択したというわけだ。5ヶ月ぶりの、といってもさしたる変化があるわけもない店内は昼を少し回った時間のためか、空いていてけっこうけっこう。 煮売屋さん というのは江戸時代初期にできた商形態で、惣菜を作っては売って歩く商売で、明暦の大火(1657)により焼失した江戸市街地復興のために全国から集まった数多くの建築職人たち、…ろくな定住地も縁戚関係者もいない彼らのために発達したもので、これが後々飲食店に発達していく。 こちらに来るとどうも「煮売屋さん」という感じがして面白い。惣菜を作っては量り売りしてくれるのだから、そのまんま現代の煮売屋さんではあるが。中に入ると入口からレジカウンターまでの道のりに沿って惣菜類が並べられている。左手は煮物類、炒め物類。右手は主に揚げ物類で、人気の唐揚げは常に揚げたてが補充される。 選ぶのが面倒、という方には日替わり定食も用意されていて本日は チキンカツ 竹輪チーズ天ぷら 春巻き 照り焼きハンバーグ ほうれん草ゴマ和え 酢豚 ごぼうサラダ さくら漬け ポテトサラダ ここにご飯が装備されるラインナップで480円という凄みのあるメニューであったが今回は見送り。やはり面倒でも自分で好きなものを吟味して選びたいではないか。優柔不断のクセになにをいうのかという感じではあるが仕方がない。空いているしよそ様に迷惑をかけるわけではないからよいではないか。という事で苦労して選択したのが以下である。 ◯第一皿:煮物・炒め物類 すべて126円/g 「なす中華炒め」 まずこれが登場することは自然、当然のこと。世の中なすほと美味いものはない。なすと豚こま肉を炒め合わせただけの、ごくシンプルなメニュー。あまり中華っぽくは感じないが、美味いからなんでもよいのだ。 ・ひじき煮 そういえばこれもしばらく食べていない。見てくれは真っ黒で変な煮物だが、これも美味くてたまらない。味つけがちょうどよい。 ・かぼちゃ煮 かぼちゃと鶏ひき肉を甘く煮たもの。まずは色合いよし、甘さよし、かぼちゃのねっとり感よし。 ◯第二皿:から揚げ てるてる坊名物の唐揚げを3種とも。スタンダードな鶏から揚げは安定の味わい。カレーから揚げはほどよいカレー味がとてもよい。一番は塩から揚げ。ごくシンプルで美味かったなぁ。 ◯第三皿:酢豚 これも名物、ニンジン、ピーマンなどの野菜類はもとより、豚バラ肉がたくさん入っているスーパー酢豚。これをご飯にどろりとのせていただくのがじつによろしいのだ。 ◯デザート:ベイクドチーズケーキ 165円 てるてる坊はデザートのグレードも高い。とくにケーキ類が素晴らしい。レモンパイかこれで悩んだのだが、こちらに決定。無造作にサランラップで包まれたチーズケーキはけっこうなボリューム。チーズの香りと抑制された甘味がとてもよい。 色とりどり豊かな「煮売屋さん」ランチはとても満足できるものであった。ただその場で自分で選ぶものだから、美味いのはよいがどうにも見た目がよろしくならない。もっと戦略だてて事に及ばねばならぬ。とはいつも思う事なのだが。
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記憶力がよい、昔のことは忘れないというものがいる。私もそのうちのひとりだが、すべてというわけではない。大概は学生時代だったり仕事のことだったり日常生活の外だったりする。その後の人生を決定づけた教師のひと言とか、あの現場ではどのようなことが起こったかなどは、鮮明に覚えていたりする。しかし、母親がなにを作って食べさせてくれていたか、とか兄弟とどのような会話をしていたかなど日常のことはスッカラカンと忘れ果てている。 それはある程度仕方のないことでもあって、当時と現在では生活そのものがまったく違ってしまっている。年齢や立場、生活環境も違えば母親や兄弟との接し方も違う。だいたいオレは結婚して世帯をもち子どもまでいるのだ。確実に快適になっているから余計と記憶に残っていない。奥さんどーもありがとう。 現在直面しているのは子どものいない生活だ。一昨年、息子が一人暮らしを始めたため、夫婦ふたり暮らしの1年があったが、昨年は娘が都合で戻ってきたためにまた3人暮らしに。そしてこの4月からふたり暮らしに突入と相なった。まことにめでたいが、ふたり生活を一から再構築せねばならぬ。まぁぼつぼつやっていこう。 そして先だって私の休みの日。およそ一年ぶりのふたりきりランチとなった、昼食を用意しておこうか。といっても私はロクでもないものしか作れないので、お弁当を買いに春の街へと繰り出していく。 「てるてる坊」 屋島にある惣菜・お弁当の店。おおおお!食べログではデリカテッセンとなっている。なにやら高級スーパーみたいだと、久しぶりの店内をうろちょろしてしまう。ここの唐揚げと酢豚が美味いんだよな。いろいろ惣菜を買っていこうかと考えているところによさげなものが目に入る。おおおおこれにしちゃえ。 「惣菜セット」350円 奥様用に購入。5箇所に仕切られたプラスチックのトレイ。惣菜と冠しながら真ん中にご飯がある不思議、まぁよいだろう。四隅のひとつめはてるてる坊名物 酢豚と筑前煮、ふたつめはシュウマイ、とりの照り焼き、オムレツ、みっつめは白身魚のフライ、よっつめは漬け物とポテトサラダ。 どれもがご家庭で調理されたフツーの味わい。とはいえパートのおばちゃんたちがご家庭のまま調理しているのだから当たり前であろう。少しずつではあるが、とても豪華なお弁当だ。 「柚子胡椒エビピラフ」360円 まずどどどーーーッ、ピンクに染められた表面が確認される。なんだこれ?よくよく確認するとチャーハンの上に干した桜エビが大量に積載されている。こういう個性的なフォルムは大好きだから即購入。 単純といえばこれ以上のものはないだろう。ピラフといいながらここにあるのは玉子と醤油のチャーハン。その上に桜エビとレモンが添えられている。ご飯ものにレモンとの相性はとてもよろしい。 パリパリとした桜エビの食感とふわふわチャーハンとともに訪れるピリ辛、ではなくけっこう辛い。なんだこれ?と確認すると、ああそうか柚子胡椒風味か。風味どころではないレベルの味つけだがこれもまたよし。レモンでさわやか風味をプラスして。つけあわせのカキフライはタルタルソースまでついている。ひじき煮はものすごくご家庭の味わいでよろしい。 まぁぼつぼつやっていきませんか。 先は長いしこの先どうなるかわからないし、かといって大変わりもしないだろうから、ゆったりゆるゆる仲良く参りましょう。