【 ずっと行きたかったお店 】
会社周りのお店はできるだけ行ってみたい。いろいろと、会食の機会などにも使えるかどうかというのもあったりする。きっ粋さんは出来た時から気になっていたのだが、なかなかタイミングが合わずお伺いすることができなかった。だいたい、いつも駄目元で予約の電話を入れて、満席っていうのが常。
で。なんだか今回はうまく予約が取れたので、ようやくお伺いすることができた。元リッツカールトンコンビのご夫婦が営む、三重の地魚を直接漁師から仕入れるのを中心に構成するお寿司屋さん。
お酒は全てお任せで。器は有田焼。
関西だから関西らしいお寿司を目指していますと。シャリは流行りの赤酢とは全く正反対のポジショニング。スムースでピュアであることを標榜しているのがよくわかる。
酢には胡麻と酢橘を一週間程度浮かせて香酢にしてますとのことで、ある程度の量を食べて喉が乾くようなインパクトで押し切るものじゃなくて、熟成をかけた魚との相性に、寄り添うシャリ。確かに、シャリだけ食べると現代では非常に円く、酸も穏やか。寿司は、面白い。これが魚と混じると、全く違う感覚になる。
大将、釣もお好きだそうで魚の扱いはうまい。釣が好き、ということはダイレクトに海から上がってきてからその身がどう変化するかをよくご存知、ということだ。私も自分で熟成の刺身の変化を1週間くらい楽しむことがある。明確に、アミノ酸が増えてゆき、食感が変化してくのは面白い。
結論から言うと、私好みの寿司だった。やや甘め、という話を聞いていたのでどう作用するかと思っていたが、甘みで何を魚から引き出しているのか、が、重要である。
お任せで、寿司前から始まる店で、バランスが取れている店は多くはない。モヤモヤすることもよくがるが、このお店は味、雰囲気、サービス、価格全てに私は満足した。
なるほど、ちょうどいい感じの寿司屋だからいつも予約で埋まっていたのだ。カウンターだけの小さな店。他の客のスジもいい。夜だけの営業だが、やはり、仕込みの時間は相当長くかかるようだ。
それだけの、良い仕事が味にちゃんと現れている良いお店である。