『2014年 タベアルキスト和久井の印象に残ったこの10軒』 3軒目 戦前にあった京橋の名店「幸鮨」の流れを組む創業60年を迎える老舗。 店の表に「こはだ、煮蛤の旨い店」という布が掛けられているのが印象深い。 初代は江戸時代に握り寿司を創案したとされる「華屋与兵衛」直系の店で修業後 このお店を開いた。 元々は浅草の観音裏にあったが、現在は蔵前に場所を移して二代目ご主人が つけ場に立っています。 二代目のご主人の篠原俊之氏は、人形町の名店「喜寿司」で修行された方。 鮨は古い江戸前の技術をしっかりと受け継いでいながら、時代の流れに即した 仕事を施した握りを提供している。 ネタは近海物にこだわり、昔ながらの江戸前の仕事が丁寧になされた〆もの、 煮ものなど手間暇かけたものが特に味わい深い。 シャリはやや甘味がある標準的な固さで、ネタとのバランスが実にいい。 【酒肴】 ●生しらす 御前崎産 ぷちぷちとした食感とみずみずしさを堪能できる。 ●汲み上げ湯葉 とても柔らかく大豆の甘みと、とろけそうな食感に山葵のアクセントがきいている。 ●白魚 網走湖産 ほのかな甘味とわずかな苦味の調和。 【握り】 ●真子鰈 富津産 ぷりっとが引き締まった身は脂肪分が少なく、くりっとした歯ざわりとさっぱりとした 食味の中にもほのかな甘味とざわめくような旨味がある。 ●鯛 佐島産 水揚げが少ない佐島のものは、貴重といわれる。 歯応えと旨味が実に素晴らしく、皮と身のあいだの脂肪分が特に旨い。 魚の王者にふさわしい貫禄ある内容。 ●墨烏賊 出水産 肉厚でねっとりとした歯ざわりと濃い甘みを持つ。 シャリとも絶妙な味の絡まりを見せる。 ●車海老 養殖もので茹で上がりではないが、まろい舌ざわりで甘みもまずまず。 ●生いくら軍艦 普代村産 しっかりダシが効いた仕上がりで、噛めばプチッと弾けほろりととろける。 ●鮪赤身漬け 上物の鮪ではないが、浅めの漬け具合で旨味もまずまず。 ●雲丹 北方四島産 甘味はほんのり、食感はしっとり磯香には気品が感じられほのかな昆布の香りをが 後から追いかけてくる。 ●小鰭 佐賀産 程よく酢が馴染んで、噛み進めれば旨味がジュワジュワ湧いてくる。 また、脂もしっかりのって甘味があり歯ざわりも柔らかく〆加減も抜群。 絶妙な〆加減は経験に裏打ちされた、確かな江戸前の技である。 思わず追加してしまう程、満足度が高かった。 ●穴子の肝 なかなか他ではみかねないネタ。 ほろほろした食感で苦味もなく優しい甘味が後を引く。 ●煮蛤 しなやかな歯ざわりが伝わり、次いで旨味の汁がほとばしる。 やや時期はずれの為、やや小ぶりで歯応え旨味共に弱い。 煮蛤の旨い店という布が掛けられている通り、旬に改めて食したい。 ●穴子 ふっくらとした口当たりの後にまろい舌ざわりが広がり、口中いっぱいに旨味が 喉をすべり込んでいく。 ●煮烏賊 ねっとりした歯ざわりと極上の甘さ加減は、煮烏賊でしか味わえない。 ●玉子 伝統的な鞍掛け。 玉子が主張し過ぎずほのかな甘さと気品のある旨味。 ●おぼろ 口に入れるとほろりと崩れ、海老の旨味と甘味が広がる。 まるで品のいい和菓子のよう。 ●干瓢巻き 山葵入り甘すぎない味付けで、噛み切る楽しさがある。 #マイベスト2014 #名店 #マイベスト10
駅から近い
カウンター席あり
クレカ決済可
禁煙
戦前にあった京橋の名店「幸鮨」の流れを組む老舗鮨屋さん