史実を重ねた寺院らが、今日も泰然と 御供所町を見守る。 その寺院らに挟まれ【白つぐ】は 雅やかな香りを放つ。 店の大きな窓から東長寺が見え 隣接していることに気付くと緊張感すら 感じてしまう。 千二百年前、窓の向こうで 空海が立ち、空を見上げている。 しかし、彼は千二百年先の未来から 私が覗いているなんて知る由もないだろう。 こんなことを考えていると、私と彼は 背を向け合い「無限 ∞」の記号を 描いている。 そう感じた。 【突き出し】 ・焼き茄子の茶碗蒸し 焼かれ縮んだ茄子は旨味が凝縮され 自らの出汁で苦味に似た香ばしさを残す。 【前菜】 ・秋刀魚の押し寿司 ・柿の白和え ・鮎の子持ち 鮎を茶で煮る。斬新だ。 骨まで柔らかさに従い、茶の渋味で 風味を引き立てる。 【椀物】 ・百合の球根饅頭 百合の球根を饅頭仕立てにしている。 柿に似た饅頭を箸で割ると極小の鳥ミンチが現れ肉汁と一緒に口にすれば、ほのかに スイーツに似た甘さを醸す。 そして刻まれたビターな春菊が味を締める。 【向付】 ・しめ鯖 ・鯛 ・烏賊 ・サワラの炙り 【鉢肴】 ・カマス焼き 身が太く脂が乗ったカマスは最高だ。 【止め肴】 ・コハダ ・生キクラゲ ・柚子 個性が立つキクラゲと柚子が「コハダ」 の上質な身をお膳立てする。 【食事】 ・むかごのご飯 【デザート】 ・フロランタン最中 フロランタンと最中の合わせ。 冷やされた小豆を挟み、手で潰し食らう。 アーモンドが甘味を伸ばす。 美味だ。 旬を念頭に置いた美しくも繊細な料理。 【白つぐ】は実に美味い。 オリジナリティを前に出し 会席料理を超えた会席料理だ。 「良い匂いがしたから」と 突然、見知らぬ婦人が飛び込んできた。 これが全てだろう。 緊張感も、いつしか緩んでいる。 少し、御供所町を歩いてみようと思う。 まだまだ知らない伝統ある町を見てみたい。 しかし、過去に触れ過ぎて タイムパラドックスが起きては困る。 「千二百歩の旅だけにしよう」 「なんてね」
写真と本文をすべて表示祇園駅のそばにある、隠れ家風の和食屋さん
駅から近い
個室あり
禁煙
クレカ決済可
ランチ営業あり
おひとり様OK
























