◆こより食堂「お弁当」¥2,000(税込)
鵜飼観覧船に乗る人、岸辺から観覧する人、そのどちらにもお薦めしたいのが、こより食堂さんの「お弁当」。とっても美味しいのです。どの位、美味しいかと言うと、東家の鵜舟が出るところを望遠レンズを構えて左岸の「すぎ山」さんの真正面で待ちかまえていたのに、お弁当のあまりの美味しさに気を取られて、気が付いたら鵜舟は跡かたもなかった位、夢中にさせる美味しさでした。
長良川の流れに見立てた空豆ご飯。サワガニが潜む石は丁度良い塩加減の空豆。ちりばめた山椒の若葉が、岸辺の岐阜護国神社の木立のみずみずしさを連想させる良いアクセント、サラダ菜は金華山を彩るツブラジイの若葉です。そして、ご覧ください。煎り玉子には魚卵が入っているではありませんか。やがて成長し回帰してくる鮎を連想させますよね。勿論、今の時期は未だこの大きさの稚鮎も、姫竹と共に天ぷらで我々の舌を楽しませてくれます。やさしい衣に包まれつつほろ苦いワタを口にした時、私は塩焼きの時期が来るのを恋い焦がれます。そして、節間の長い姫竹に自然の営みの勢いはコロナの影響を受けていないことを改めて感じ勇気づけられるのです。勿論、最初に口にした近海天然ツバス(ブリの幼魚)のお造りに、海の中もそうであることをありありと感じました。
とにかく、ここのご主人は仕事が丁寧で美味しい。「美味しいのは当たり前でその先にあるものを提供したい…」という志の高い方です。エンドウ豆がバラバラにはずれぬようにひとつづつしっかり鞘についた糸が切れぬようにしている繊細さは見事としか言いようがありません。そしてメダイかタラかと思うほど肉厚な幽庵焼きはなんと鮃だそうです。身の大きさが伺いしれますね。鮃の旬は2月などと釣雑誌には昔、良く書かれていましたが、最近はそうでもないことをwebで知りました。
そして、飛騨牛の煮物を口にした瞬間、懐石料理の和室から、突然、デミグラスソースの香りが漂う美味しい洋食屋さんのドアを開けた気分になるのです。凄いギャップ!まるでピエロのズボンを連想させるような黄色と緑色のカラフルなズッキーニの付け合わせと共に、ご主人のちょっとしたイタズラの様に思えて、思わずふふふふとほほ笑んでしまうのでした。
梅肉和えのわらびで、再び口の中を和風に戻し、サワガニを…。あっ!美味しい!勝手に苦みを連想して口の中に入れたので、その甘焦がしとでも言うような軽やかな風味に、風船づくりをした飴細工のような印象すら持ちました。じゅぶじゅぶとした芳醇さに包まれた飛騨ホウレンソウと帆立の春巻きは、上品な出汁のお味を感じる一品。これだけジューシーなのに春巻きの皮がダレていない事に驚きます。実は、ここまで食べながら、ちょくちょく目線を送って正体を確かめようとしているおかずが…。目にも鮮やかな深紫色のそれは、断面がイチジクのようでもあり、甘かったらデザートにしたいし…と思いつつ迷って一番最後に手を付けました。ん!?里芋?いや、菊芋?いや、何?…答えはムラサキジャガイモ。初めて知った食材でした!
…という訳で懐石料理を頂いた様な満足が味わえる、岐阜市川原町の「食堂こより」さんのお弁当。競合する川原町泉屋さんの「鮎弁当」より430円お安い価格設定は、「ウチは鮎の塩焼きを入れてませんが、その分他のお料理をお楽しみいただけます!」というご主人の戦略が伺い知れ思わず唸ります。お薦めです!
https://jinseibalanceball.com/lunch-koyori/
追伸)
今、“幽庵焼き”や“飛騨牛の煮物”は金華山のチャート石を表していることに気付きました!多分そう。改めてスゲェ!
お弁当
予約・問い合わせ |
058-214-9230 |
ジャンル |
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営業時間 |
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定休日
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予算 |
- ランチ
- ~2000円
- ディナー
- ~6000円
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クレジットカード |
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住所 |
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アクセス |
■駅からのアクセス
名鉄各務原線 / 田神駅(2.9km)
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