そういえばこのところマンガを読んでない。いやマンガどころか書籍、雑誌の類いとも接していないのだが、これは老眼化が進んだからというだけでなく、もっとも必要としていた通勤時間なるものがなくなり、なおかつスマホ•インターネットなる手軽な存在ができてしまったから余計だ。現在ではいくつかある読みたい連載を、コンビニで立ち読みするくらい。これは私だけの事ではなくみながみなやっているようだ。本が売れなくなるわけだ。 メディアのあり様が変わった、手に取りたくなるような作品が少なくなった、出版社の努力が足りない、読者の理解度が低下したなど様々な理由があげられているが、要はそのすべてが原因なのだ。それだけ技術が発達し、社会が成熟し、世の中が便利になったという事であろう。寂しくもあるが仕方がないことでもある。 それにしてもかつてのマンガ文化の爛熟ぶりは凄まじかった。質は量が担保するというから、よいマンガが増えれば増えるほど、面白くなればなるほど変なマンガはそれ以上に増えていく。こんな事はマンガに限らないが、ひとまずこのまま話を続けていくこととする。 「包丁人味平」 ほど変なわりにヒットした作品はないだろう。料理人見習いの味平が、様々なライバルたちと料理対決を繰り広げるという変なことこの上ないマンガだ。どれほど変かというのは実作を当たっていただきたいが、物語終盤近く「カレー対決編」に登場するブラックカレーほど変なものはないだろう。 ライバル鼻田が作り上げたブラックカレーの得体の知れない吸引力は凄まじい反響をよび、味平ですら負けを認めざるを得なかったが、この料理には麻薬同然のスパイスが使われていて…。 んなバカな と、さすがに小学生の私でも思ったものだが、以来黒いカレーと出会うと、なんとなく麻薬が入っているのではないかとドキドキしてしまう。 「まんぷく食堂」 浅間温泉にある食堂だ。美味いカレーがあると聞いてやってきた。勝手に古ぶるしい食堂をイメージしていたのだが、かなり新しい清潔感あふれる店舗でびっくり。店内すぐの券売機でチケットを購入。厨房の無愛想なオヤジに渡すと、メシとサラダ、スープは自分好きなだけ盛れとのこと。へぇぇおかわり自由なのか、嬉しくなってしまった。 「黒カリー」650円 「大盛り券 B、カレーの量」350円 カレー屋にある先の尖った洋皿はなんという名なのだろうか。それになみなみと注がれたカレーは『黒』と冠されてはいるものの、さほどでもなく濃褐色といったところであろうか。ひと口食べてみるとさほど辛くはない。壁面には『当店の自信作 黒カリー』と掲示されておりこちらの本店であるホテル玉之湯、大澤料理長監修のもと作り上げた、こだわりのカレーであるとの事。 信州プレミアム牛脂のミンチ、玉ねぎ、にんじんなどが投入されているようだがまったくわからない。具材は皮付きの鶏肉のみで、ぷりぷりした食感がとてもよい。もう少し辛い方が好きだが、これはこれでよい。もちろん、ご飯もサラダもスープもおかわりさせていただいた。滋味深い美味いカレーであった。 そうなのだ、ブラックカレーなのだ。 つい名前に惹かれて注文してしまった。もちろん満足はしているのだが、どことなく中毒化してしまうのではないかとドキドキしてしまう。やはり幼少期の読書には気をつけた方がよいのかもしれない。
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