菊正@蔵前! 「新宿西口同店」と書かれた看板が歴史を物語っていた。 黄色い菊の花の絵の斜め下に「正」の字が書いてあり、この店が「菊正」と言う事がなんとなく分かる印象的な看板だ。 確かに新宿西口のしょんべん横丁辺りにそんなような名前の寿司屋があったような気がしないでもない。 昭和50年代の新宿西口はまだまだ本当に昭和で(当たり前だが)、傷痍軍人やヒヨコ売りが必ず居たし、貸本屋兼古本屋がまだあった。 今や、茗荷谷でしか生存確認ができない「牛丼太郎」もあったし、映画館のあの大きな看板はみな全て手書きだった。 昭和55年に公開された東宝映画「地震列島」は、まさに西新宿の高層ビル群が大地震による火災で真っ赤に燃え盛っている様子が描かれたポスターで、子供ながらに恐怖を覚えたものである。 ビルの床が抜け、パンツ丸見えで地上に落ちていく女性たちのシーンがトラウマになったが、パンツ丸見えに興奮したりもしたのだった。 ひとの良さそうなご夫婦で、ご主人が寿司を握り、奥さんが配膳をこなしている。 かなり古いお店だが、清潔感がある。 先客は地元の爺さまで、すでに貝か何かで瓶ビールを飲んでいる。 会話の内容から、昨夜も「菊正」で呑んでいて、その後にもう一軒寄ったけど鏡を見たら顔が真っ赤だったからそこそこにして帰って寝た。 という貴様の就寝直前の行動など全く持ってどーでもいいわいっ!!と言いたくなるような報告だったが、ご主人は優しい表情をしたままうつ向き、寿司を握りながら聞いている。 すべての寿司を下駄に乗せ終えると、はい、お待ちと言ったかどうかは忘れたが、カウンターのボクの前にその寿司たちを置いた。 どれも東京風の小ぶりのシャリで、この店はこうして呑みに来る客が多いのだなと思った。 手の空いたご主人がやっと口を開いた。 「蔵前神社の花が見事だから行っておいでよ」 と、先客の爺さまに提案していた。 「もう行ったよ。若い子ばっかで恥ずかしかったよ。」 と爺さまが可愛い事を言った。 あとで調べたら、蔵前神社はミモザの花で有名な神社で、タイミングが合うと黄色いミモザの花とピンクの桜の花が同時に満開を迎えて、インスタ映えの聖地となっているらしい。
口コミ(6)
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下町・蔵前で粋な寿司屋『菊正』さん! ここに店を構えて25年以上になると思います。 一品料理から、彩り美しいお寿司がとても美味しい。 カウンターとテーブル席あり。 予約も可能だったりと多少の融通も利くお店。 外観は入り口に暖簾があり、中は見えないため、 一見若者にはやや入りづらいイメージがありますが 入ってみればアットホームなお店です。 店主も人情味のある人です!是非☆ ※ちなみに写真4枚目のオケで頼んだお寿司は 店主がスカイツリーにしてみたとエビを縦にしてました。笑
コスパ最高!
飾らなくて居心地がいい。
久しぶりの訪問。安定のコスパ