
【 いつまでも、誰かのためにある。】
どこでコーヒーを飲もうかと思って、それはあくまでも純喫茶であって欲しく、ふと、思いついてモンシェリーに。
まだ、あった。
小学校3年生の時に京都から谷町四丁目へと引っ越してきた。まだマンションが出来上がってなくて、新学期が始まってからも少し、京都から通って引っ越しをした。引っ越し直後はこのエリアのお店に色々行った、家で料理が作れるまで少し時間がかかったから。
その時に来て以来だと思う。40年ほど前の事だ。
今では有名店がひしめき、住んでいる人も多いエリアだけど、その頃はオフィスしかなくて、思えば随分この辺りも変わったと思う。
ここらあたりの純喫茶の歴史は長い。40年を超えて営業している店が結構ある。モンシェリーもその1つで、長くこの辺りで働いている人たちのオアシスだ。
コーヒー380円。ゆっくりと、1時間かけて飲んだ。
帰り際にマスターに、実はずっと隣の隣に長く住んでたんですよ、お店は何年やってますか?と聞いたら43年くらいかな。と言う。
この辺りも随分変わったよねと。
そう、随分変わったけれど変わってない場所があって、まるで時間が止まった定点のように感じる。
なんかみたことあるね、とマスターが言った。
実際小学3年生から随分変わってるからまさかそんなことはないのだけれど、そう言われることがどこか嬉しく思う。適当でもいい、間違いなくこの、店の前の通りをそれこそ20年以上、毎日のように歩いていた訳だから。
ずっと、頑張ってくださいねと、店を後にした。
きっと、様々な人の様々な記憶を残してこのお店は存在しているのだろう、私だけではなく。長くお店を続けていくことは、こうして誰かの感情を蓄積して存在している。
タイムスリップしたかのようなお店を出ると、外の景色も昔と実は、あまり変わってないことに気がついた。
この街は、僕の街だ。