
親の介護のため、関東から帰省して早や二年。年に数回通っていた東京の料亭も高級フレンチも行けなくなったところで、友人が「東海に観光に行きたい」とのこと。あー、神の助けとばかりに、前々から「なぜ、四日市にミシュラン??」と思っていた店を予約。でも、あんまし期待はしてなかったぁ~。 しかし!、大当たりでした。 三重県の四日市と言えば、イオンの創業地。(四日市では今も「ジャスコ」が通称で、80代以上は「オカダヤ」と呼称する人もいる)つまり安物売りの聖地なのよ。しかも、これまで四日市の名物として全国区で紹介されたのは、トンテキだの餃子、おにぎりだの、まぁ、湾岸の工場の肉体労働者がさくっと食う物ばかりなわけ。こんな場所にミシュランってふざけてるでしょ? ところが、この店、東京に対抗できて、「四日市、なめたらあかん!」と久々に思わせてくれました。 まぁ、そもそも四日市という街は金銭にシビアで、イオンで売っている強炭酸水が伊賀産でめちゃくちゃうまいことを認識していても平時は購入せず、月に2回ある5%割引の時のみ棚からなくなるというくらい、金にうるさい気質です。うちの親なんて、外食したら「こんなもんで、この価格ってアホちゃう?」と平気で言える人たちで、金とクオリティには「=」ではなく常に「<」を求める人なんですよ。東京では爆売れして即完売しているチューハイだのハイボール缶が、「これ、たしたものやあらへんから、買ったら損すんでぇ~」とばかり、せっかく地方ジャスコが頑張って仕入れたのに、棚にいつまでも残留する程、シビアなんですよ。 その四日市にあって、夕食に21,000円と28,000円という価格設定は狂気の沙汰!! さて、その中身と言うと、前菜から始めてクライマックスの煮えばなの米まで10品、本当に楽しめます。 四日市や三重の食材を織り交ぜながら、いいものはいいで厳選されたものを使い、仕事は丁寧で、隠し包丁も生きていて、食材を殺さずにひたすら、「うまいっ!」を貫けます。 この日はたまたま妊婦さんも来ていたのですが、生ものの扱いとか、一皿一皿を都度確認していて、客一人一人を見てその好みと状態に合わせて料理を提供してる赤坂や銀座の高級料亭のサービス体験できます。 特に最後の米は、煮えばなの一椀から最後の椀まで、米の変化が楽しめて絶品です。 紀尾井町福田屋や銀座吉兆、赤坂浅田までとはいかずとも、20年近く四日市で運営していた店として器も凝っていて楽しめますので、是非、四日市に来た際には、昼に労働者のジャンクフードを食ってから、夜はこの繊細な日本料理を堪能することを、マジで、お勧めします。