
一品目の「湯葉巻き」から溢れ出すお出汁の優しさに、これから始まる蟹尽くしのプロローグを感じて、お腹も心も準備万端! 芝海老のカステラや鴨ロースが並ぶ美しい八寸で春を愛でた後は、いよいよ今回の主役——大きくて立派な「毛蟹」を丸ごといただく、贅沢なオンパレードが始まります。 まずは、ゆずの香りで華やかにお化粧されたお刺身。 ぱくっと口に含めば、花が咲いたようなプリップリの身が弾け、芳醇な甘みが広がります。 鰆のクリーム煮に春野菜をたっぷりと添えた一皿で季節の移ろいを感じた後は、再び蟹の世界へ。 香ばしい焼き蟹を塩やすだちでシンプルに。香りと旨みがより一層濃く、輪郭を持って押し寄せます。 黄ニラの食感が小気味よい出汁しゃぶしゃぶ、蟹味噌しゃぶしゃぶ。 蟹味噌特有のきつい癖はなく、ただただ純粋な風味が喉を滑り落ちていく感覚は、まさに至福でした♡ 桜鯛を桜の葉で包み、はまぐりの餡をかけたサクラ蒸し。 お上品な旨みがじわじわと身体に染み渡り、春の情景が目に浮かぶようです。 そして、思わず笑ってしまったのが「蟹とキャビアのブルスケッタ」。 だって、これが「箸休め」だなんて。箸休めにならないほど主役級の華やかさに、お店の遊び心と心意気を感じてしまいます!笑 極め付けは、鮑の肝ソースの中に蟹を潜ませる「肝しゃぶ」。 鮑の身の美味しさはもちろんですが、その濃厚な肝をたっぷりと纏った蟹の身の、なんという罪深い美味しさ……! 締めくくりは、海老と浅利が競演する土鍋ご飯。 蓋を開けた瞬間に立ち上る春の香りに、最後まで心を掴まれっぱなしでした。 可愛らしいほうじ茶プリンで余韻に浸りながら、ご馳走さまでした。 確かなクオリティの中に、わくわくするような驚きが散りばめられた一軒。 麻布十番の夜が、また一つ、特別な思い出に塗り替えられました。