【静寂の隠れ家で出逢う北イタリアの深遠】
信州上田から一時帰宅をしているシルバーウィークの夜。折しも大型で強い台風25号(ドゥージェン)が千葉県の南東沖を北東へと駆け抜け、街は激しい風雨に見舞われていた。荒天という非自然な情景が、かえってこの夜の特別な気配を際立たせる。 少し早めに63回目を迎える誕生日の祝い。相方と足早に向かったのは、以前より心に温めていた神楽坂の隠れ家「レストラン NODO」だ。雨に濡れる静寂な路地に灯る看板が、温もり満ちる美食の一夜へと誘ってくれた。 ◾️ ディナーの記憶 この夜選んだのは、好きなワインを添えて楽しめる「ワイン持ち込み可能なスペシャルコース」。フリウリ=ヴェネツィア・ジュリア州の豊かな郷土色を繊細かつモダンに昇華させた料理の数々を堪能した。 まずは乾杯用に持参した「アルロー・シャンパーニュ・プルミエ・クリュ」のハーフボトルを開ける。立ち上るきめ細やかな泡が、記念日の高揚感を優しく高めてくれた。そしてメインに合わせて持参したのは、思い入れのある赤ワイン「アマローネ・デッラ・ヴァルポリチェッラ」。熟成感のある濃厚な一杯とともに、贅沢な宴が幕を開ける。 ▶︎ 前菜のアソート(前菜プレート) 木株のプレートに色鮮やかに盛り付けられた前菜の数々。モルタデッラやプロシュットコット、スモーキーなサーモンマリネ、そしてバッカラやスカルパッチャなど、伝統と工夫が調和したバラエティ豊かなひと品から宴が幕を開ける。きりりと冷えたシャンパーニュとの相性も抜群だ。 ▶︎ 温菜 香ばしく焼き上げられた温かいパイ生地に、コクのある削りたてチーズが贅沢に舞い落ちる。口に含んだ瞬間に広がる温かな香味が食欲をそそる。 ▶︎ プリモ・ピアット(カンデーラ) 円筒状のパスタ「カンデーラ」に、カルチョフィとじっくり煮込まれた牛すじの深い旨味が絡み合う。歯ごたえあるパスタの食感と濃厚なソースのコントラストが見事。 ▶︎ セコンド・ピアット(ストラコット) メインはあがの姫牛の赤ワイン煮込み「ストラコット」。ホロホロとほどける極上の柔らかさまで火入れされた和牛に、赤ワインの芳醇なコクと滑らかなマッシュポテトが寄り添う至高の皿。ここで満を持して注いだ持ち込みの「アマローネ」が、お互いの凝縮された旨味を引き立て合い、まさに最高のペアリングを奏でてくれた。 ▶︎ チーズ&ドルチェ(Nuovoティラミス) 食後はゴルゴンゾーラなどのチーズとドライフルーツでアマローネの余韻をゆったりと楽しみ、締めくくりには「Nuovoティラミス」とジェラート、そして温かいコーヒーを。火入れ・冷凍・半解凍という独自のプロセスを経て作られた新食感のティラミスは、63周年の節目を祝うにふさわしい驚きと満足感をもたらしてくれた。 ◾️ 総評 外の荒天を忘れさせるほどに温かな接客と、フリウリ料理の奥深さに満たされた一夜。上田と東京を行き来する日常のなかで、相方とともに重ねた少し早めの63回目の誕生日は、美味しいワインと滋味深い料理の記憶とともに刻まれた❗️
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