【高輪の老舗で買い求める、凛とした和の逸品】
信州上田からの一時帰宅のタイミングです。白金高輪駅から少し足を延ばし、高輪の坂道を上る。目的は、大正7年の創業以来、この街で変わらぬ手仕事を貫く『松島屋』だ。 赤と白の粋な暖簾をくぐり、木枠のショーケースと対峙する時間。売り切れ必至の静かな緊張感のなか、本日手に入れたのは「豆大福」「草大福」「きび大福」、そして涼やかな気配を纏った「水羊羹」の4種。 持ち帰った透明なパックに黄色いゴムバンド。そんな飾らない装いこそが、味への絶対的な自信を物語っている。 まずは、東京三大豆大福の筆頭とも称される「豆大福」から。手で持てば崩れてしまいそうなほど柔らかく薄い餅。一口頬張れば、蒸した赤えんどう豆の絶妙な塩気が弾け、続いてふっくらと炊き上げられた小豆の澄んだ甘みが口いっぱいに広がる。この塩気と甘みのキレのある対比は、まさに唯一無二。 続いて、よもぎが青々しく香り立つ「草大福」と、プチッとした素朴な食感が癖になる「きび大福」。餅生地の豊かな個性が、餡の旨味をどこまでも深く引き立ててくれる。 宴の締めくくりは、笹の葉に包まれた「水羊羹」。ツルンとした舌触りとともに、儚く解けて消える上質な小豆の余韻。夏の日差しの中で手に入れるこの清涼感は、まさに大人だけに許された極上の嗜みだ。 奇を衒わず、素材と丁寧に向き合い続ける職人の手仕事。高輪の静謐な空気とともに自宅へ連れ帰る和菓子は、日常をどこまでも贅沢に彩ってくれる。
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