【 通えば通うほどに良い 】
あまから手帳に最近よく乗ってるよね、お客さん増えたんじゃない?と、蔓延防止開けに応援しに行ったら、意外と新聞とかを見て来られる人は多いです、しかも、何ヶ月も前の僕もどうやって記事になったか知らないやつとか。とのこと。ちょうどまだあまり客足が戻っていない時なので、ゆっくりとヨウさんのお料理を。
太いイワシを綺麗にマリネ。こういうところにビシッと技術が出てくる。筍のからあげ、は、朝採りの木積。いまは朝掘った奴が、もうこうして、夕方に出せたりするんですよすごくないですか?と。筍は、掘り立てであればあく抜きしなくても食べれる。そういうものをフリットに仕立てているので、ふっくらと甘美である。
苺とブッラータは今年の流行りだなと、あえて加熱調理のリゾットにしたが、素晴らしい酸と甘み、色味もまさに春の色。という素晴らしい一皿だった。
ぶりんぶりんの富山のホタルイカには、爽やかな香りのルッコラであわせたのパスタで。ラムラックにイタリアの聞いたことがない葉野菜と、ハリッサ。特にこのラムラックのシンプルな佇まいは惚れ惚れとする。余計なものがない。主役はラムラックそのものであり、絶妙なキュイで仕上げられている。ハリッサはもちろん自家製だ。メリハリの効いたメインディッシュとなっている。
ああ、相変わらず最高のお店だ。次々とグラスでワインをペアリングしてゆく。その味の組み合わせや重ね方は、官能というただ一言だけである。
それにしても絶妙な料理の佇まいとワインたち。フレンチビストロよりも砕けているけれど、料理の質は完全に現代的。柑橘の使い方や酸味の出し方、塩の使い方や粒径の考え方。すべてバチンとはまっている。いろいろなことがちょうどいいのが、この店の良いところである。
「パスタを打つときはもちろん硬水で。で、茹でる時も硬水なんですけどね、これをもっとこうガチガチにしまったコントレックスをいれてやるともっとシャープなんですけど、でもちょっとコストがねえ」
普通の硬水で硬度が300ほど。コントレックスは1500にもなるという。そんな楽しい会話をしながら、なるほどね。郷に入っては郷に従えだよね。などと言いながら自家製からすみをしがむ。
今宵もまた、素晴らしい。