
“アラフィフ男の「黙って一人飯」”
♯120 井之頭五郎の足跡を辿って@旭市
【オーダー】
塩わさびの豚ロースソテー
仕事で旭市に行くと決まった時から、夕食を食べる場所も同時に決めていた。
店の営業時間は夜のみ。
仕事終わりにちょうど良い。
予定通りに仕事が終え、すぐに店へ向かった。
店の横の駐車場は予想通り混み合っていたので、地元の人に予め教えてもらっていた、店から徒歩1分の商店街の駐車場に車を停める。
なんと駐車場料金無料。
特にネオンや看板などもなく、店先を照らす灯りはない。薄ら店内の光が窓から洩れている程度で、訪問目的でもなければ間違いなく気づかずに通り過ぎるだろう。
ゆっくりと扉を開けると、カウンターに座る常連さん3人が振り向く。
すぐに奥の厨房にいるマスターを呼んでくれた。
あとで分かったが、この日はお店のスタッフさんが休んでるようでまさかのワンオペになっていたのだ。
ワンオペ状態のため、マスターはやんわりと断ろうとしてる感じだったが、常連さんたちがなぜか迎え入れてくれる形で、カウンター席に座らせてもらった。料理提供まではかなり時間がかかると言う条件付きで。
常連さんたちは、カウンターに入って自ら飲み物を作ったり自由気ままで楽しそうだ。これが日常なのだろう。マスターとの関係性がよく分かる。
新たなお客様が2名、入店してきた。
予約をしているとのこと。
私を断りたかった理由が分かった。
待っている間、ボーッとTVを見てる私にも、常連さんたちは声を掛けてくれた。どこから来たのか?何しに旭へ来たのか?などなど。色々話をさせてもらった。気を遣ってくれてるのが分かった。気さくな皆さんのお陰で待ち時間は苦にならずあっという間だった。
そして最初の皿が届く。
「口封じのスープでーす」と言いながらマスターがキノコのスープを持ってきた。
料理が遅い!まだか!と言われないようにとりあえずスープを飲ませて口封じ、と言う意味だそうです笑 ユーモアセンスもいい。
スープはキノコのポタージュ。キノコのエキスがしっかりと効いていて、パターの風味も良くとても美味しい。完全に口封じされました。
そして程なく、メインディッシュが登場。
皿からはみ出さんばかりのポークソテー。
肉の厚みもすごい。たっぷりのワサビは鮮やかなグリーン。鼻に抜ける良い香り。
付け合わせは、レタスに千切りキャベツ、トマト、カットレモンに、カレー風味のポテトサラダ。別皿で塩。
まずは肉だ。ナイフがサクッと入る。
一切れにワサビをしっかり乗せてパクり。
おー、辛い。涙が出る。
肉とワサビの相性は抜群。
そしてこの肉、脂のバランスもよく、歯切れもいいのでこの厚みでもすごく食べやすい。
想像以上にワサビが効くが、ポテトサラダと塩を使い、上手く調和させると肉の旨みがさらに引き立つ。
実は旭市は豚肉産出額が全国2位。
この豚肉はまさに産地ならでは。納得。
会計を済ませ、店を出ようとすると、マスターがタバコを加えたまま見送りに来てくれた。店の外で少し会話をしてから駐車場に向かった。
話し方はとてもフレンドリーで初対面とは思えないくらいのフランクさがあったが、最後まで丁寧に接してくれるマスターの人柄、それが常連さんが集まるこのお店を作っているのだと思った。
また寄ってくださいね、という言葉が、サービス業のお決まりのフレーズではなく、心が入ってるように感じたのは気のせいかな?
素敵な時間と空間をありがとうございました。
次に来た時も、カウンターに座らせてほしい。