テッパンの安心感 天ぷら中華+生たまご 天ぷら中華+生たまご 連日の猛暑日 照りつける日差しを避けるように暖簾をくぐった 夏休みの高校のそばの食堂は いつにも増して安穏とした空気を湛え 北向きの間口から入り込む照り返しに 却って店内のその薄暗さを際立たせると むしろ空調より覿面に涼しげな風情を醸している これはアレだ、真夏の農家屋の開け放った座敷の午睡のアレだ 窓際のテレビ、平日昼の帯番組、司会の男の横柄な物言いさえ耳に心地よい 店の奥から吹き込む少しだけ冷んやりした風が、流れる額の汗を撫で窓へ抜ける よし、この席にしよう 今日は海老系三兄弟の一角、海老天煮込丼に決めていた 午後からの三者面談の前にあれこれ迷わないよう 昨晩のうちにじっくり検討しておいたのだ 「海老天煮込丼ください」 「ごめん!今日できないの!」 困った 二の矢を用意していなかったボクは面食らった しかし時間に猶予はない 「じゃあ、天ぷら中華、あと卵付けてください」 良かった 困ったら天ぷら中華 テッパンメニューのある食堂の安心感よ 食後のサービス 甘くて冷たいミルクコーヒーを飲んでいると 女子高生が2人、店に入ってきた 耳をそばだてるとどうやらオーダーはカツ丼と冷やし中華のようだ やるな、女子高生! 田舎の女子高生 部活帰りにカフェではない 食堂でカツ丼と冷やし中華 このまま真っ直ぐに成長して欲しい 微笑ましい気持ちで会計を済ませ 急いで教室へ向かうボクの 少しめかした白いボタンダウンの胸には 黄身が溶けたラーメンスープの染みが3つも付いていた
表町にある西若松駅からタクシーで行ける距離のラーメン屋さん










