【 鮮烈なるインド・イノベーティブ HAOMA.1】 2回に分けてハオマのお料理を解説いたします。 ミシュランガイドすら出るほどのグルメシティ、バンコク。世界のベストレストランではアジアランキングで3連覇をしたGaganを筆頭に、その系譜が広がっています。バンコクのTop Table 2019では、なんとランキング1位はジャーマンコンテンポラリーのズーリング。2位にGaganのスーシェフ(Noma出身です)から独立した北欧系インド料理のGaa。3位がGaganとなっています。 今回の旅でGaganから独立したシェフのNadodi(クアラルンプール)かHAOMA、どちらに行くか悩んだのですが熟考を重ね、HAOMAを選びました。あえてGaganの息がかかっていないシェフの手腕を見たかったというのもあります。とにかく、インド料理の再構築が見てみたかったのですが、その先進性とテクニック、味、共ににまるで冒険をするかのような楽しさで満ち溢れていました。 レストランは何もない住宅街のずっと奥にあって、長く取られたアプローチを抜けてゆくと、驚くほど美しいレストランが現れます。広く取られたパティオ、レストラン棟の裏には彼らが大切にする”菜園”があります。このレストランは”ファームトゥテーブル”を標榜しており、庭で育てた野菜やハーブを使う事でサスティブナルで、よりオーガニックであり原始的な料理を追求している、そういうレストランです。 私たちのメニューは9コース。配られたメニューはさっと見て、写真だけ撮って閉じてしまいました。とにかく、サーブされるお料理たちは大きな驚きに満ちています。説明は英語で詳しくしてくれるのですが、早口でもう何言ってるのか殆ど解らないので、じっくりと自分の感覚を研ぎ澄ませ楽しむ事としました。そして改めて、今メニューの解析をしています。 それでは、新しいインド料理の世界へ、ようこそ。 Galuti Cornet ガラウチケバブという料理がインドにあり、それを肉を使わず表現し、コルネットにしています。中身は松茸、シトラスジェル、トリュフとキャビア。大きな流木にちょこんと刺さっているコルネットが素敵。濃厚で粘質な中身とコルネットの硬さと乾燥感がバランスよく収まっています。 Oyster & Corn tartar オイスターと魚のタルタル、ゆず、レモン、シナントロ(パクチーですね)を使っています。持ち上げるとかなりふわふわで、上部のコーンは擬態しており、コーンスープを固めたものだとのことですが、いわゆるイメージするコーンの味は全くしません。それはオイスターも同じで、どこかに風味として存在しているという雰囲気です。素晴らしい一体感と共に、ただひたすらに美味しい。 Golgappa ひよこ豆、ポテト、タマリンド、ヨーグルト、ミント。小さなボトルと一緒に出てきます。なるほど、これはコルカタのパーニープーリーという料理の再構築でした。パーニープーリーの中にポテトなどを入れサモサのような味わいに。ボトルの中身は後で飲むように、と言われますが、ラッサムのような酸味が鮮烈に爽やか。これは本来、パーニープーリーの中に注ぐ物のようですが、ここでは敢えて別で際立たせてます。 Tomato Mist ハオマのトマト、ホエイ、ハオマのリーフ、ブルーベリー、キュウリのアイス。先に葉の上にある大きな水滴のようなものを葉と一緒に。そのあと、スープを注いだものをいただきます。どうやらトマトの成分を抽出して固形化をしているようですが、食べているときはこれが何か検討もつきませんでした。とにかく美味しいのだけれど、それは実に新しい食べ物のように感じるほどです。 The disappearing duck カレーのムース、ダックのウイング。可愛いダックにソースをかけるとダックが消えてしまうというプレゼンテーションです。このダックのウイングは実に巧妙な調理です。ただフライにしているわけではなく、噛むと多層化していました。ダックのムースはフォアグラ? Haoma in na bite ハオマで育てた魚、ダシ、ハオマのグリーンとレーズンジャム。魚は軽く出汁酢締めにしているのでしょうか、トラウトのような味わいで、コルネットのような空洞に様々なものと巻き付けられています。テクスチャーも生の味わいも完璧です。 ---HAOMA2に続きます。
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【 コンテンポラリー・インド料理、と呼ぶらしい 】 この日は休暇でタイ(マレーシア→プーケット→バンコク)に旅行に来たAkiraさんとDinner。向かった先はSukhumvit Soi 31をこれでもかと奥に進んだ住宅街にいきなり出現するHAOMAと言う名のインド料理レストラン。いやこれはコンテンポラリー・インド料理、と呼ぶらしい。 バンコクではかの有名なGaggan(残念ながら8月24日で閉店)で有名となったコンテンポラリー・インド料理ですが私はこのコンテンポラリー料理というものに全くもって知見が無いズブの素人です。 そんな私がこの店に行くことになったのはI氏に背中を押されたから。 (アジアのコンテンポラリー料理) https://foodies-asia.com/genre/contemporary/ メニューはコースのみで9品と13品の2択。ランチ(土日のみ)ではアラカルトもあるようですが、このコースを食べた後の感想としてはアラカルトってどんな料理の中から選ぶんだろう?と。これまたちょっと気になります。 【 9 Course Tasting Menu 】2,390THB ■Galuti cornets Wild mushrooms, Spices, Citrus gel, Truffles ■Oyster & Corn tartar Local oyster, Cilantro, Corn, Yuzu lemon ■Golgappa Chick pea, Potato, Tamarind, Mint, Yoghurt ■Tomato Mist Haoma farm tomato, Whey, Haoma leaf, Blueberry, Cumcumber ice ■The disappearing duck Curry mousse, Poultry wing, Sticky rice, Haoma urban farm greens ■Haoma in a bite Haoma raised fish, Dashi, Haoma greens, Raisin jam ■Farmers Fuel Eggplant relish, Mango pickle, Tomato Chutney, Indian Breads ■Me in a bowl Charbroiled chicken, Makhani curry, Pickled shallots, Mint Chutney ■Nadia Chocolate, Cherry sorbet, raspberry, Rose jam ■Petit Four (+Service Charge10% + VAT7%) はい。以上です。 一応メニュー名とその料理の構成要素を記載してみたんですが、どんな料理かお分り頂けるでしょうか。メニューと写真は全てコースの順番に載せてあります。 改めて見返してみましたがとても繊細な味で詳細にどんな料理だったか思い出せるものは数えられるほど。そして都度トップ写真のタトゥーのたくさん入ったコワモテインド人オーナーシェフのDK(Deepanker Khosla氏)が説明してくれるのですが素晴らしく早口のインド訛りの彼の英語はほとんど聞き取れず、、、料理の詳細は先に挙げて頂いているI氏の詳しいコメントをご参照下さい。 私、タイに来て1年8ヶ月経つのですが、この手のコンテンポラリー・レストランは全くもって知りませんでしたし、ここまでタイがコンテンポラリー料理の先進国だとは知る由も無く。いや、かの有名なGagganは当然その名前こそ知っていましたが自ら行こうとは思いもしませんでした。いま思えばせっかくタイに住んでいるのに勿体無いことをしたかも。 これを機に、せっかくコンテンポラリー料理というジャンルのレストランがたくさんあるバンコクにいるので色々チャレンジしてみようと思います。 まずはI氏が今回訪問したもうひとつのコンテンポラリー料理、Saawaanに行ってみようと思います。こちらはコンテンポラリー・タイ料理。 楽しみです。 #タイ赴任 #バンコク都① #インド料理 #Retty (2019.08.07.Wed)
【 鮮烈なるインド・イノベーティブ HAOMA 2】 HAOMAは2つに分けて書きました、1からの続きです。 Farmers Fuel ナスのレリッシュ、マンゴチャツネ、トマトチャトニ、インドブレッド。農夫のガソリン、というタイトルがついています、農村のランチをイメージしているのでしょうか。麻の包みを開いてパンにそれぞれをのせて食べます、色々混ぜても美味しい。特にナスのレリッシュが抜群です、2種類のバターもついていますが、グリーンのバターは何かを練りこんでいました。 Me in a bowl チャーボイルドチキン、マッカニーカレー、ジャックフルーツのピクルスにミントチャツネ。チキンカレーというわけですが、グリルで焼かれたチキンはスパイスマリネされている様子です。上に乗っているマッカニーカレーですが、驚くことにフローズンで、辛味をコントロールするのにも役立っているようです。冷たいのですがそこに標準を合わせて味を作るのは結構難しいと思います、とてもよくできている。同時に出されるブリオッシュはナンの再解釈。片面がカリカリでふわっとしており、素晴らしい。 Nadia チョコレート、チェリーのソルベ、ラズベリー、ローズジャム。シェフの名前を冠した美しい三日月型のデザート。勿論スパイスがうまく組み込まれています。 Petit Four 白いふわふわはあの、インド料理屋のレジのところにあるカラーフェンネルでした!びっくりした。チョコレートもふわふわで、蕩ける味わい。 ワインはアルザスリースリングでした。これは単純に一番安いボトルだったからですが、しっかりとした白で適度な果実味もあり、美味しかったです。ワインは総じて高めで、これでも1600パーツでしたが、他は軒並み1万円を超えてきます。 THB2390。料理だけなら8000円、ここからサービス料が10%付いてきます。 さて、奇しくもタイとインドというイノベーティブ料理を食べてきました。サワンは女性シェフらしい温かみと繊細さ、ハオマは男性的な創造性と力強さを料理から感じました。どちらのレストランも、甲乙つけがたいほど魅力的です。 実はバンコクで今回、初めてファインダイニングに予約を取って伺いました。バンコクというとよほどのことがなければ、美味しいタイ料理を食べるので手一杯なんですよね。あれも食べたいこれも食べないとと、結構忙しい。 そんな中で訪れた2つのレストランは、非常に興味深くまた、バンコクの新たな一面を見せてもらった気がします。それは、この街の寛容性が産み出す多様な文化の混在から発生する、革新的な創造性です。 今回バンコク駐在中にてご一緒頂いたT様と、どこのレストランに行くかでお互い随分調べました。個人的に私の意向でこちらのレストランを予約していただき、大変素晴らしいディナーでバンコク最後の夜を締めくくることができました事に、この場を借りて感謝を。 五人で囲んだテーブルは、料理が運ばれてくるたびに面白い、凄い、可愛いなどの嬌声が聞こえ、また一口食べるたびにこれ美味しい!酸っぱい、苦手、辛いなど、それぞれの味覚の違いでいろんな感想があって、本当に楽しかったです。 私の娘にはやや、辛かったようですが、それでも美味しい、というインパクトの方が強いのは、このお店の技量の高さでしょう。 子供の舌は正直です、初めての味、慣れていない味のものを全て美味しいと言わせた事。それはすごい事だと思います。勿論、彼女はサワンも甲乙つけがたいと、申しておりました。 私は、全てにおいてとても美味しいと思いました。しっかりとどれもインド料理のストーリーの中にあって、しかしそれらは実に多彩であり、味の冒険のような新しさを楽しめる素晴らしいレストランだと思います。 皆様も、ぜひチャンスがあればご予約を。