【驚きのクレマンとピノ・ノワール】
シェンゲン協定ーみなさんがEUに入国する際、EU圏内では国境関係なく行き来できるのはこのシェンゲン協定によるもんですが、シェンゲンの街はルクセンブルク国内にあり、ドイツとの国境の町です。そして、この国境を隔てる川がモーゼル川。モーゼル川沿いにはドイツ側、ルクセンブルク側に広大な葡萄畑が延々と広がっている銘醸地です。
シェンゲンで高速を降りるつもりが一つ間違えて先で出てしまいました。ここはどこかと地図で検索していると近くにワイナリーを見つけました。やってるかな〜とおもって静かな駐車場に乗り入れたら”やってるよ!おいで!”ということで、ワイナリー見学。ルクセンブルクのワインはその殆どが国内消費に回っていてあまり、外に出ないワインです。
小さなシャトー。美しいダイニングルームは”昨日はここで大宴会だったんだよ”ということで。ルクセンブルクにきたのは初めてだし、もちろんこの辺りのワインも初めてだというと”ハハハ!うちは小せえ国だからな!”と言いながらいろんなぶどうのワインを抜栓してくれました。
まずはリースリング。日本のリースリングのイメージはひどくよくない、と私は思います、それは昔ドイツワインのインポーターが激甘のリースリングを輸入していたからだと思うのですが、本来のリースリングというぶどうは、実はなかなかドライでシャープなワインを作り出すのです。要するに糖度が高い段階で出してしまう若いワインですね。本来しっかりと醸されたリースリングはすっきりと美味い。シャルドネも試して見ましたが、ミネラル質ばかりが際立つコクの薄いタイプとは違い、ふっくらとしたボディを持つなかなかの出来栄え。美味しいです!
次にピノグリージョが出てきました。えっ?ピノグリの単体?そういえばこの前シャンパーニュのピノグリ主体のを飲んだなって少し驚いていると、”ウチはクレマンも作っているからね”と。え、それっとここから先に行ったシャンパーニュの、、、”そう、ウチはピノ・ノワールも作ってるよ。醸造施設を見に行こう”と。
カーテンの向こうにはちゃんとオークの樽がありました。見かけ上2トンはないかな。ぐらいの数量。基本はステンレスタンクで醸しています。で、大量に積み上げられたノンラベルのボトルたち。”ご存知のようにクレマンはシャンパーニュと同じ製法だからね、瓶内二次発酵やってるんだよ。こうして圧を常に計測していて、手で回してルミアージュ(オリを集める)するんだ。で、最後はデゴルジュマン(急冷して圧でオリを飛ばす)して、ドサージュをしてでね、、、” ななな、なんと、本気のクレマン。シャンパーニュの厳格な製法をしているわけです。びっくり驚いた!
最近酒屋でクレマンを探しても実はなかなか見つからないのです。ヴァンムスーは結構あるのですが、クレマンをあまり見かけない。
”結構時間もかかるし大変だけどやっぱり美味い酒を作らないとな!”とのことで、試飲室に戻ってそのクレマンをいただきました。う、美味い、、、、、。クレマンプレステージブリュット。シャルドネ、ピノ・ノワール、ピノグリを使った完全に本格派のキレのあるクレマン。確かさっきの説明で5気圧あると言ってたような、、、、愛らしい娘の名前Julieを付けたラベル。なんと素晴らしい。
”2007年からウチはビオディナミにしているんだ”
私はどちらかというとビオには否定的なのですが、もしかすると日本に入ってきているビオがイマイチなのかもしれない。ビオだからどうだ、というわけではないのですが、”ビオであること”のいいところが顕著に出ていて、嫌なところが全く出ていない、、、、
”じゃあ最後にウチのピノノワール飲んで見てよ” そう、赤ワインだけは樽熟成。注がれたグラスを香ると驚きのブルゴーニュの香り、、、口に含むとその華やかさに心の底から驚きました。よくぞ、こんな美味しいワインをピノ・ノワールで作られましたね。本当にそう思った。
”ピノ・ノワールはやっぱむつかしいんだよ、でもここらは気候も地質も向いてるんだ。”
2015年の最新ビンテージを1本購入。この味と力強さは、10年も経てば恐ろしく美味いワインになることは間違いありません。そういう骨格のワインです。市場にワインは出ているのかと聞いたところ、ウチはファンが電話してきてケース買いでだいたい全部売れちまうんだよ、あとはみんなここにきて試飲して買っていく、とのこと。
ワイン文化の深度の違いの一端を、まざまざと知ることとなりました。買ってきた1本、いつ開けようかな。
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