【 酒と音楽 】 春のお店を出て、少しあたりをウロウロとした。ポツポツとお店はやっていて、三連休の中日とは言えそれなりの人通りがある。一通り見終えて、春のお店の隣の隣のビルの二階へ。 知らなかったら絶対に入らない扉だろうなと思いながらそれを開けた。カウンターの一番端で、先程春のお店で隣だった人が座っている。 来ましたよ!と言うととても喜んでくれた。丁度ラフロイグの話をしていたので、ラフロイグをトゥワイスアップで。店内を見渡せば何本かのギターの他にDJ機材、カホンとエレピがある。鍵盤があるのは珍しい。 この店の店主はミュージシャンで、カラオケではなく彼の生伴奏で歌わせてくれると言う。韓国で生フルバンドを従えて歌ったことがあるが、日本では初めて見た。 そうこうしていると、新しいお客さの団体がやってきた。その中の一人が、プロのピアニストだと言う。なんでも、ハンガリーでクラッシックピアノをやっているとか。 いいなあ、生の演奏。ご機嫌だ。 次に行く店があるからと彼らが出て行った後、今度は女性お二人のお客さんが来た。彼女たちはよくマスターを知っているらしく、彼の曲をリクエストした。彼がまだストリートライブをやっている頃、この曲をたまたま聴いて、涙が溢れて止まらなかったのだと言った。 音楽には力がある。彼の歌声には、力があった。 皆がどうしても私も歌えと言うので、こんな夜にぴったりのエリッククラプトン、ワンダフルトゥナイトをリクエストした。マスターは少し待ってねと言いながら原曲を耳で聞いて、あっという間に演奏しきった。 生ギター1つで、目線でタイミングを計りながら歌うのは殊の外気持ち良い。私はカラオケをあまり好まないのだけれど、こんな風に大切に、1つの曲を歌ったりするのは最高だ。それは私だけでなく、他のお客さんも同じだ。 赤のグラスワインに切り替えて、他のお客さんたちと楽しく飲んだ。お隣の女性二人は姉妹だと言う。そんな風に二人で飲みにくる関係性も素晴らしい。 二杯飲んでたったの2000円だった。帰り際にマスターのお兄さんからプレゼントされたマスターのCDを、翌日車の中で聴きながら福井を後にした。 タイトルはBirth。 こんなお店が日本にも、たくさん産まれればいいのになと思う。福井に行ったら必ず、私はその夜の最後にこのお店の扉を開くだろう。 音楽に集まって来る人たちは、音楽同様に暖かい。
写真と本文をすべて表示順化にある市役所前駅からすぐのバー








