Ken Kine
上総東駅
オーベルジュ
千葉、房総の新たな宝石
着座した後、戸外に出て焚き火を囲んでシェフの挨拶があり、ウェルカムドリンク後、藁焼きと土鍋に着火するところまで体験できる参加型演出がイイ。 ・ウェルカムドリンク(梨ジュース):千葉の恵みをそのまま凝縮したみずみずしい一口。果肉の自然な甘みと酸味が喉を潤し、期待を煽るスターター。 ・鰹の藁焼き 卵黄コンソメジュレ添え:高温の藁で一気に表面を炙り、力強い燻煙香を纏わせた鰹。濃厚な卵黄と旨味の詰まったコンソメジュレが重なることで、伝統的な藁焼きが洗練された一皿へと昇華。 ・いすみ市産無農薬米の炊き付け実演:スギの花に焚きつけて土鍋をセットする所まで実演してもらい楽しめた。 席に戻りリスタート。 ・アミューズ(サザエとジャガイモのパニプリ、ヤギチーズとシャインマスカット、猪肉のパテ・ド・カンパーニュ)インドのストリートフード「パニプリ」に磯の旨味を詰めた意欲作から、甘みと酸味が交錯する果実とチーズ、野生味を上品に仕立てたパテまで、技法の振れ幅で心を掴む三種。 ・幻の大豆の豆腐:希少な大豆本来の濃密な甘みと、後味にすっと抜ける心地よい苦味。シンプルな豆腐だからこそ、素材のポテンシャルと凝固の技術が際立つ。 ・伊勢海老 ニョッキとカラスミ(猪オイルのオランデーズソース):甘みある伊勢海老に、ジビエのオイルで奥行きを出したリッチなソースを合わせる構成。ニョッキの食感とカラスミの塩気が見事なアクセント。 ・地野菜14種のプレート:ひとつひとつ異なる加熱調理と仕込みが施された地野菜の饗宴。食感や酸味、苦味の対比に、舌と知識が試される。 ・クルックファームの水牛モッツァレラと生ハム、柿、ハーブ:フレッシュな水牛ミルクのコクと生ハムの塩気、柿の上質な甘みが調和。クレソンの爽やかな苦味が全体をキリッと引き締める。 ・赤鮑と肝練り込みパスタ:赤鮑の弾力と、肝を練り込んだ自家製パスタの芳醇な香り。濃厚なソースの一滴までパンで拭って食べ尽くしたくなる、旨味の凝縮された逸品。 ・黄金鯵 キュウリと鯵コンソメのソース:脂ののった黄金鯵に、キュウリの青味とクリアな鯵コンソメソースを合わせた清涼感溢れる一皿。鮮やかな視覚美も印象的。 ・ヒラスズキの熾火焼き 丘ワカメ添え:熾火の遠赤外線で皮目はパリッと、身はしっとりと火入れされた絶品。丘ワカメの粘り気とシャキシャキ感が、繊細な白身の旨味が引き立つ。本日一、最高の一品。 ・猪肉のロースト(満月塩):丁寧な血抜きと下処理により、臭みを一切感じさせない純粋な赤身の旨味。満月塩のまろやかな塩味が肉のポテンシャルをストレートに引き出す。 ・猪のリエットとパン:脂の甘みと肉の旨味が素直に表現されたリッチなペースト。「あえて癖を残しても満足できるのでは」と思わせるほど、質の高さが伝わる。 ・天然鰻のお茶漬け(魚と猪骨のダブル出汁):天然ならではの力強い弾力を持つ鰻に、魚と猪骨という異色のダブルスープを合わせる構成。力強くも深みのある出汁が締めにふさわしい満足感。 ・ジュニパーベリーのメレンゲとイチジク(ラム酒の仕上げ):イチジクの濃厚な甘みに、ジュニパーベリーの爽快感とラム酒の芳醇な香りが重なる大人なアシェットデセール。 ジビエや地魚、ローカルな地野菜といった自然の恵みを、フレンチやクラシックな技術、さらには異国の技法まで自由自在に組み合わせて再構築した見事なコース。加熱のコントロールや出汁の引き出し方に一切の妥協がなく、素材本来の個性が味わえる。食体験としての驚きと純粋な美味しさが共存した、わざわざ足を運ぶ価値のある千葉の新たな宝石。 #83














