イタリアマエストロ・石崎幸雄シェフの店が福岡にオープン。 なのに店内は、従来のいけす割烹と、松阪牛専門の焼肉店の看板を残したまま。 しかし、それこそが、石崎シェフが言う「和タリアン」を体現したもの。 「それぞれの国の料理のプロがいる。自分のジャンルを作りながら、基本を守りながら、彼らの融合で発想し、構築していく」のが和タリアンだという。 もうひとつ、石崎シェフが大事にしているのが「一期一味」 たとえば同じ種類の魚でも、どこで獲れたか、いつ獲れたかで全く違うもの。その素材に合わせて、そのときの最高の調理法で提供していくことをモットーとしているという。 「料理は色気。ここでいう色気とは、素材のあそびを楽しむこと。素材に耳を傾ければ、勝手に味つけができてくる」 一流シェフの一言一言には重みがある。 さて、この日の「一期一味」はというと… ★リコッタチーズを佐賀牛で巻いたもの ★三重県の養殖場からフレッシュなまま仕入れた国産エスカルゴ ★オマール海老のビスクパスタにかき揚げ ★真鯛の昆布〆炙り焼き ★40日間ドライエイジングした豚肉を高温・低温交互に火を通したもの ★あんこのガトーショコラ と、いずれもが見事と言うほかはない「和タリアン」。 そこに、シェフ自らセレクトしたボルドー産の白ワイン・赤ワイン。 今までいろんなお店の料理についてリポートを書いてきたけれど、さすがに今回は自分の拙い表現力・語彙力では太刀打ちできそうもない。ただ、どの料理も香辛料をはじめ、塩胡椒などの調味料は最小限に抑え、素材の持ち味を生かしている印象。誤魔化しは一切ない、素材と真剣に向き合ったからこそ生まれた味だと感じられた。 次に訪れたときには、また違った出逢いが待っているのだろう。 最後に、石崎シェフのことばをもうひとつ。 「食は記憶に残る芸術でなければならない。記録ではなく、記憶。なぜなら料理は、食べたらなくなるものだから」
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