
不定期で開いている「パクチー会」がきっかけで親しくなった方と食事へ。 選んだのは福岡市中央区赤坂のMon An。コロナ禍前、一度だけ店を貸し切ってパクチー会を開いてもらったことがある。パクチーという強烈な個性を持つ食材を、驚くほど繊細で上品なコースに仕立ててくれたことが印象に残っていて、いつかまた訪れたいと思っていた店だ。 まずはミャンカムをつまみにヒューガルデンホワイト。オレンジピールとコリアンダーシードの香りが広がり、一口で気分はエスニック。青唐辛子は見た目以上に刺激的だが、後に残らない爽やかな辛さが心地いい。 続いてシメサバとパクチー。青魚と香草という一見大胆な組み合わせながら、不思議なくらいよく合う。パクチーの鮮烈な香りが、シメサバの旨味を引き立てていた。 グリル野菜の盛り合わせや揚げ春巻を挟み、メインはラム肉の串焼き。刻んだパクチーソースをたっぷり合わせる。 ワインは「甘い白が好き」というリクエストに応えて、スタッフおすすめのアルザスをボトルで。熟した果実を思わせる華やかな香りをまといながら、口当たりは驚くほど軽やか。個性の強い料理にも自然と寄り添ってくれる一本だった。 パクチーが縁の二人には、これ以上ないくらい“らしい”食卓だった気がする。料理もワインもおいしくて、会話も弾んだ。 甘い香りのワインを飲み干したころには、もう夜もだいぶ更けていた。 赤坂から駅までの帰り道。頬をなでる風は心地よく、初夏の夜はどこまでも静かだった。