
広島に、唯一無二の個性を放つカレーの名店があります。
なのに広島市民でも「え?そんな店ありましたっけ?」という方が多く。
それもそのはず。
街の中心部でありながら、知らなきゃ見つけられない店構えなのですから。
原爆ドーム前から本川を渡った向かいの細い路地に、ひっそりとした灯り。
ここです。
『ばばじ』
入口は、小さなステンドグラスのすぐ下。
頭をぶつけないよう、小さな小さなくぐり戸を抜ければそこは・・・
広々と、しかし静寂に包まれた不思議な空間。
独自の世界観。
ただならぬムウドと静けさ。
カウンターの前にお品書きが掲示されています。
洋食カレー的なメニューと、和風カレー的なメニューがあります。
ここで店主にオーダーを伝え、好きな席へ着いて待つのです。
丸盆で、ビールとカレーがやってきました。
★エビスビール 小びん ¥400
このジョッキがお店の世界観にはふさわしいですね。
迷った挙句オーダーしたのはこちらのカレー。
結果、大当たりでした。
★とろとろ和風カレー ¥950
「和風カレー」に「牛スジ煮込み、スクエッグ、ヤサイ他」が加わった一皿。
まずこの和風カレーが良すぎます。
旨味たっぷりのカレーなのだけども、昨今の出汁が効いたスパイスカレーとは根本が違う。
サラッとしていつつも、どこか懐かしい。懐かしいけれど、どこでも食べたことのない味。
和風でもあり、どこか洋風でもある。
これはもう、「ばばじ」のカレーとしか言いようのない個性です。
さらに、カレーの味を引き立てる具材のチカラが凄い。
牛スジの旨さに驚き、野菜からあふれ出る生命力に圧倒、玉子自体の味の濃さに笑みがこぼれます。
静かなお店の、静かな味わいのカレーなのに、ハッとするような生命を感じる一皿。
これは傑作です。
『ばばじ』がこの場所へ来たのは2004年。
それ以前にも別の場所で20年ほど営業していたそうで、やはり料理の奥行きと個性は一朝一夕にはなし得ないものなのだと実感しました。
ぜひ一度、行ってみてください。