更新日:2022年10月05日
ワインも日本酒も豊富、チーズ好きを唸らせるワインバー
【 熱燗の可能性 】 私はワインラバーだ。なので、一番好きな酒はワインだし、当然チーズにはワインが合っていると思ってる。オリジナルやテロワを超えて来ることは難しい。このお店は、お店のタイトル通り国産チーズと酒を合わせるお店ではあるが、私は最初に白ワインを頼んだ、特にメニューに銘柄は書かれていないが、想像通りビオワインが出てきた、オーストリアのオーガニックである。 その、白ワイン自体の出来は素晴らしいものだった。チーズの盛り合わせは、滋賀のウォッシュと北海道の2種で、北海道の一つは羊であって、それらは驚くべき美味さである。ちびちびとチーズを舐めながら白ワインを啜る。休日の午後の深い時間にこれほど上等な組み合わせもないだろうと思う。 お店の売りは熱燗とチーズだ。チーズの説明は的確で細部まで把握されており、”生産のディティールを知ることでもっと美味しいよね?”という、私と同じ考えの人だ。そういう人が熱燗にチーズが合うというのだから、委ねてみることにした。 「松の司、うぶすなです。先ほど話に出た滋賀の、古株牧場のチーズに合わせて、同じ竜王町の酒で」 ”原料は米、麹のみ、竜王町産の酒米を使った”普通酒”。ほんのわずかに米粒が小さいだけで、この選別除外米は"純米酒"という特定名称を名乗ることができません。しかし、この土地で生まれた恵みを大切に考え、日本酒の本質を目指した純米仕込みの普通酒です。日本酒の本来の姿や本質を追求し、醸造アルコール無添加=純米造りの”普通酒”へと「松の司」は踏み出しました。” 加熱は思ったよりもざっくりしている。温度計を突っ込んだりなどはせず、おでんの湯煎でゆっくりと加熱されている。その、松の司の熱燗と、古株の、湖華舞のウォッシュチーズ。 「、、、、凄い。軽々とオリジナルの組み合わせを超えてしまった」と僕はつぶやいた。 チーズとワインは相性がいい、という事になっているが、実際それはなかなか難しいところだ。なぜなら、チーズの強い香りが、ワインの香りを殺してしまう事も多いからだ。その組み合わせは、意外と難しい。 しかしこの、松の司と、これら3種のチーズとの相性はどうだ。なんと官能的な組み合わせだろうか。お互いの素材の良いところを口腔内で膨張させ増幅するような、驚くべきインパクトだ。米の甘みが、チーズの脂で強調される、、、 「あ、、、、、」これは。まさしく、アツアツのご飯がどう機能するのか、というのと同じ理屈だ。あつかんは、ご飯だ。極上の、甘みの強いご飯だ。 次に出てきたのは大信州、槽場詰め。「酒蔵まで行かないと買えないから行ってきました」という酒である。なるほど、こだわりはチーズだけではない。酒に対しても、相当なこだわりだ。清涼な水で醸す長野の酒は美味い。そもそも、酒のほとんどは水なのだから。 よくもこれだけ凄いペアリングを思いつきましたね、といったら。昔家でよく、チーズと熱燗を飲んでいて、本当によく合うなーって思ってたんですよ。で、調べたら誰もやってない。だからここでお店を始めました、とのこと。 間違い無く、酒のうまさもチーズのうまさも、その組み合わせだけに存在する快楽を提供してくれるお店、それがACE。”口下手なので、、、”と店主は仰るが、こちらから尋ねれば、ほとばしるように、”私の大好きな生産者をもっと知ってほしい”という情熱が溢れ出てくる。 生産者と消費者を、本当の意味で繋ぐ意味、繋げる酒場。日本人が一番向いているだろう”細やかな手仕事”で生まれるそれらは、正しく消費されるべきである、という思い。まさか、夏になると毎週のように向かう竜王町が、こんなに凄いことになっているとは。という驚きとともに、私も今度は美味しいチーズを探す旅、に、出てみたいなと思った。 思い込みというのは多い。なんと無くそうだと思っていること。それは本当にそうなのか、と考えてみることは大切だと教えてくれる。そういう知的興奮を味あわせてくれた店主を、応援したいし、こういう酒場がもっと増えたらいいなと思う。
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