
【井之頭五郎降臨店】
下呂。
冷たい空気が腹を刺激してくる。
いかん、これはもう限界だ。
どこか……腹に落ち着く店はないか。
ん?
大安食堂。
こういうのでいいんだよ、こういうので。
暖簾をくぐる。
油の香り、味噌汁の湯気、食堂の“音”。
腹が前のめりになる。
メニューを見る必要はない。
今日の俺は決まっている。
とんちゃん定食。うどんトッピングで。
(着フライパン)
いい。
甘タレに染まった豚が、湯気の向こうで笑っている。
上に控える、堂々のうどん。
これは……白飯を何杯も呼ぶ布陣だ。
一口。
うまいッ。
甘タレのコクが肉にまとわりついて、
噛むたびに旨みが雪崩れ込んでくる。
そしてうどん……このもっちりが反則だ。
白飯が止まらない。
…ん?
ライスお代わり無料。
俺の理性にトドメを刺すつもりか。
いこう。
ここで引く理由はない。
(2杯目、かき込む)
いいぞいいぞ~。
今、俺は確かに戦っている。
ただ食べているんじゃない。
うまさとがっぷりよつにぶつかり合っている。
完食。
静かに、深く、満足。
大安食堂。
また来るだろうな、俺は。