「中華料理人の腕はタンメンでわかる」 庶民の味・町中華を巡って40年、下関マグロ流"タンメン10ヶ条"

2017/02/15 下関 マグロ

ライター紹介

下関マグロ

山口県出身、昭和の真ん中ぐらいに生まれたライター。おもに散歩や食べ歩きについての記事を書いています。また、町中華探検隊という、みんなで町の中華料理屋さんへいくという、ゆるーい団体に所属し、町中華を食べ歩いています。 近著は『歩考力』(ナショナル出版)、『町中華とはなんだ』(リットーミュージック)などがある。

タンメンを見れば中華料理屋のすべてがわかる!?

たとえば、こんなたたずまいのお店。

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昭和の時代からやっている中華料理のお店。のれんがかかってて、中華なんだけどメニューにはカレーライス、オムライス、カツ丼なんかのメニューがあったりします。

そうそう、メニューは手書きだったりするといいですね。

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で、こういった気楽に入れて庶民的な「町中華」がキテるわけですよ。

雑誌『BRUTUS』で町中華特集が組まれたり、『有吉ジャポン』というテレビ番組で取り上げられたりしているんですね。

そして、こんな本も共著で書いてしまった、わたくし、下関マグロ。

さて、そんな町中華を半世紀近く見てきた、わたくしが、到達したひとつの結論が…「タンメンを見ればその店のすべてがわかる!」ということ。

なぜなのか。

それは、タンメンって、たいてい塩味で、その店のスープがストレートに味わえるからです。

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つまり、ごまかしが効かないわけですよ。 野菜の切り方、茹でかた、炒め方という料理人の腕がわかりやすいのもタンメンなんですね。

ところで、タンメンには攻タンと守タンがあるのをご存じでしょうか。攻めのタンメンは炒め型で、量が多いこういったタイプ。

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野菜はシャキシャキっとしていて、肉も入っていて、健康な時に食べたくなります。

対する守りのタンメンがこちら。

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野菜がくたっと柔らかく、スープもやさしく、麺もやわらかめ。体が弱ったときに欲しくなります。

タンメンとひと口に言っても様々なタイプがあるのです。

タンメンは関東発祥!

タンメンの発祥は横浜の一品香だという説もあるようです。今は横浜を中心のチェーン店ですが、最初のお店は昭和30年、タンメンと餃子のお店としてオープンしていたとのこと。

一品香 福富町店 神奈川(伊勢佐木長者町駅) 中華  

今でこそタンメンを語っている私も、町中華の食べ歩きをはじめた頃はタンメンを注文することはありませんでした。やはり、チャーハンや味噌ラーメンといったこってり系が好きで、あっさりした味のタンメンにもの足りなさを感じたのです。

そんな僕がタンメンにのめり込むきっかけになったのが、四ツ谷にあるこうやのタンメンとの出会い。

ある時、知り合いの編集者から「こうや」のタンメンをおすすめされ、タンメンを頼んでみたわけです。そうしたところ、あまりの破壊力に衝撃を受けたのです。

そう、攻めタンです。とにかくシャキシャキに炒められた野菜の量が多い。麺にたどりつくまでに時間がかかる。最初は全部食べられるのかなって心配になったけれど、あまりの美味しさにあっという間に完食。

こうやで攻めのタンメンを食べて初めて私が今まで守りのタンメンにしか出会ってこなかったことに気づいたのです。まさにタンメンの概念をくつがえした一杯でした。

支那そば屋 こうや 東京(四ツ谷) ラーメン 丼もの  

それ以来、タンメンはいろいろなヴァージョンがあるのではないかと食べ歩きをスタート。まだネットに食の情報も多くない時代だったので、自分の足で歩いて探したり、人から聞いたりして、いろいろなお店へ行きました。

およそ300軒のタンメンを食べた私のおすすめ店の紹介は記事の後編に譲るとして、まずはみなさんにタンメンの基本的な楽しみ方を知っていただきたいのです。

タンメンの心得10ヶ条

およそ300軒のタンメンを食べた私が「タンメンの心得10ヶ条」をみなさんに授けます。

その1:町歩きとセットで楽しむべし

タンメンはもとより町中華を楽しむコツは店の外から始まります。今回うかがうお店は飯田橋駅にあるのですが、あえてひと駅隣の市ヶ谷駅から歩いてみましょう。

市ヶ谷駅から外堀沿い、左にJRの線路を見ながら歩きます。桜並木が続いてますね。春になると桜が咲き乱れることでしょう。

さらに神楽坂方向をぶらぶら。こんな小路に入ってみます。

ディープな横丁を通りながら新しい発見や気になるお店をチェックしていきます。

飯田橋駅方面へ、牛込橋を渡ってしばらく行くと…

今回訪問するお店「おけ以」さんに到着しました。

餃子の店 おけ以 東京(飯田橋) 中華 餃子 焼きそば  


その2:メニュー序盤にタンメンがあるか確認せよ

まずは、メニューを見て、タンメンがメニューのどの位置にあるか確認しましょう。もちろん、最初のほうにあればお店が自信をもって勧めている証拠です。

というわけで、こちらがお昼のメニュー。


湯麺(タンメン)がメニューの右から2番目にありますね。これは期待大です。ここは餃子と湯麵をいっちゃいましょう。

その3:表記から完成系を妄想せよ

多くの場合、メニューの表記は“タンメン”です。しかし、なかにはおけ以さんのように“湯麺(タンメン)”と書かれているものから、めずらしい表記では“たん麺”あるいは“たんめん”とすべてひらがなというものも。

表記によってタンメンの完成形が異なったりするので、その表記の違いも楽しんでみてください。

その4:作り方を見るべし

町中華の多くはカウンターに座ると厨房が丸見えだったりします。そこで、自分のタンメンがどう作られているかをよく見ましょう。

野菜が大量に投入され、「これが1人分!?」と思うのですが、炒められたり、茹でられたりするとけっこうかさが小さくなります。

おけ以さんは、あまりはっきり作るところを見ることはできないのですが、今回、特別に厨房に入れていただきました。まずは豚肉を炒めます。

大量の野菜が投入され、鍋があおられます。これで2人分。

スープが投入されます。

しばし、煮込まれます。

調味料なども投入。

麺が茹で上がったようです。

麺を丼へ。

スープと具材が丼へ。

タンメン到着。

どうですか、この澄み渡ったスープ!

その5:タンメン&餃子「タンギョウ」を楽しむべし

タンメン好きの間ではタンメン+餃子の組み合わせを「タンギョウ」と呼びます。ここ「おけ以」さんでも昔から多くのお客さんがタンメン+餃子の組み合わせで注文します。

醤油ラーメンにはライスが合うのですが、塩味のスープのタンメンには餃子が合うのです。そして、タンギョウと注文すべき決定的な理由があるのですが、それはあとで説明します…。

その6:具だくさんの素材を楽しむべし

こちら「おけ以」さんの具材は、シンプルでもやし、白菜、豚バラの3種類だけ。

それでも具沢山に見えるのは、白菜の部位をうまく配置してあるからかもしれない。とくに白菜の緑色の部分がいいアクセントになっている。お店によっては、きゃべつ、にんじん、きくらげなどの具材が入る。変わったところではパプリカなどが入っていたことも。

お店ごとに具材の変化を楽しみましょう。

その7:おつまみスープでお酒を楽しむべし

蕎麦屋などで、“ぬき”という裏メニューがある。たとえば“天ぬき”といえば、天ぷらそばのそばを抜いたものだ。これで日本酒をちびちび飲んだりする。そこで、麺なしのタンメンを頼んで、ビールで楽しむことをおすすめします。

さっき2人分作ってもらったのは、タンメンとタンメン麺ぬきだったんですね。ちなみに料金は同じ680円。これね、ビールに合うんですよ。うまい!

いやぁ、本当によく合うね。タンメンの麺ぬき+餃子+ビール、これが最強かも。

その8:味変を楽しむべし

食べてる途中、卓上にある調味料でタンメンを味変しましょう。

たとえば、ラー油は薄味系の守りのタンメンにかければ、あっという間に攻めのタンメンになりますね。お酢が好きな人もいて、わたくしの知り合いのタンメンマニアは酢を2周半かけまわすと決めていました。そうやって自分なりの味変を楽しむことをおすすめします。

ちなみに、わたくしはこれを使うのです。

そう、残った餃子のタレ。これが実にいいんです。わたくしは、これをタンメンにかけるために餃子を頼んでいるのかもしれません。

餃子の油なんかがちょっと混ざって、いいかんじのタレになって、これまたズルズルいけちゃいます。

その9:小食な人は「麺少なめ」で注文すべし

厚生労働省が推奨する野菜一日分の摂取量350gがタンメン一杯分でとれてしまうのです。しかも、塩味だからすっきりヘルシー。麺少なめにすれば、カロリーも抑えられます。とくに野菜の多いお店では、麺少なめで頼んでみましょう。

その10:食べきれなかったら心で詫びて残すべし

通常はご飯ものを残すとあからさま。ラーメンでも残すと罪悪感があるものです。

ただ、タンメンの場合はスープが白濁してるから残してもバレません。(なるべくは完食してほしいですが…)

10箇条の「その9」の小食の人や糖質制限をしている人、あるいは「守り(体調の悪いとき)」にもすぐれている万能料理なんですねぇ。


さて、10ヶ条を紹介しましたがいかがでしたでしょうか!ぜひみなさんもこの10ヶ条を気にしながらタンメンを食べに町中華へ出かけてください。

後編では300軒のタンメンを食べた私がおすすめするタンメンの名店を紹介します!

※後編はこちら!

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