Πεσκέσι - Peskesi Restaurant


予算
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【最後の晩餐】 クレタ島最大の都市でありエーゲ海のアイランドホッピングの起点ともなる街、イラクリオン。ホテルについた時にはもう夕暮れで、屋上のプールからその沈む夕日を見ていた。 これがギリシャで見る最後の夕焼けとなる。 すっかり日が沈んでから食事に出かけた。旅行ガイドにある目的としていたお店はどこか違和感を感じて素通りし、細い路地にある雰囲気の良いお店にたどり着いた。 案内された席はカウンターの後ろのえらく狭くてハイスツールのテーブル席でここで食事できるの?ぐらいだったのだが、結果的にはその席は素晴らしかった。 水を置くのは壁に仕込まれた間接照明付きの出っ張りの部分。パンはパンケースで配され、テーブル下の広めの荷物置きに。ワインボトルは切り株のような低めのスツールの上に置かれた。なるほど!素晴らしいアイデアの数々が気分を盛り上げてくれる。 "白ワインをボトルで、ドライだけど果実味も感じられるのがいいのだけど"と頼むと、これしかない!と大して高くもないボトルを勧めて、先ずはグラスで味見をしろ、絶対これだからと。 大して香りが高くないそのワインは、一口啜ると最初のアタックはスッキリとした酸味で、程なく隠された果実の甘みが明確にぱっと膨らみ、やがてそれは儚く舌の上にじわりとした甘みを、余韻として長く残すワインだった。 背筋がゾクっとした。なんという事だ。これまで口にしてきた軽めのギリシャワインとは全く別物で、これほど美味しい白ワインがクレタ島で作られていることに驚いた。 この味に慣れるまで、本当に何度もゾクっとする。そういう身体反応が出るほどで、ちょっとこれほどのワインにはなかなかお目にかかれない。 メニューを読み込み興味深い"テーブルで燻製するポークチョップ、グリークハーブ"と、"若いゴート(山羊)のキャセロール仕立て"を選んだ。 いきなり紙で覆われた割と大きな衝立がテーブルの真ん中に置かれた。ギャルソンが紙を外すと辺りに薫香がばら撒かれ、現れたポークチョップはハンギングされ、下からハーブで燻されているというプレゼンテーションに狂喜した。これは凄い!ポークはカットするときれいなピンク色で、本来の肉の甘みをたっぷりと感じさせてくれる絶品の味わいだ。 正直、もう世界のどこと比べても日本ほど魚の美味い国なんてないと思う。日本の魚料理の技術もバリエーションも、この偏執的国民性のみが成し得た極みと、その平均レベルの高さはもはや異常だと感じられるほどだ。 だが、肉料理に関しては逆に相対的なレベルの低さを感じる、そう、次にサーブされたヤギのキャセロールだ。こう言ったものがメニューにあり、そしてまったく嫌な臭いなどなく、だがヤギの香りと味があり、一口食べてうわっ!これ凄い!と声が出てしまう料理が出てくる。肉食文化についてはまだまだ我々は、欧州に敵わない。 また、付け合わせの野菜類の味もべらぼうに美味い。ベイクドポテトなんて割とイヤイヤ食べるのだが、この店のは恐ろしく美味い。トウモロコシは甘いタイプではなく、モチモチとした風味が豊かなものだった。実は、このお店はメニューにベジタリアンやヴィーガン用のメニューをかなりの数で揃えているのだ。野菜は私たちのガーデンから、とメニューに記載されていたので、そう言った伝統的な事や、正しく育てられた素材にちゃんとアプローチしているのだろう。地産地消も、このお店のコンセプトの一つであるのだ。 あまりに素晴らしい料理達に感心したので珍しくデザートも頼んでみることにした、"あなたが小さな頃から大好きなチョコレート、今はムース仕立て"だ。かなり大きなコーヒーカップ一杯にチョコレートムースが出てきた。スプーンでそこまで救ってみたけれど、これは本当に大量のシンプルなチョコレートムースで、ここまでの流れからなんだか、凄いものが出てくるかもしれない!という期待は見事に裏切られ、後頭部が痛くなるほど大笑いした。それほどまでにこのギャップは凄くて、そして、それほどまでに楽しいディナーだったのだ。 最後にプティフールとラキ、というギリシャのお酒が供され、最高のディナーは、幕を下ろした。会計をお願いすると、たったの55ユーロ、だった。 短いバカンスだったけど、その終りに相応しいディナーに巡り合えて、私はとても満ち足りている。

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Πεσκέσι - Peskesi Restaurantの店舗情報

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