琉球食文化研究所の経営する「琉球料理美榮(みえ)にて、琉球の料理を堪能した。ビル街のそこだけ木造建築の料理店で、靴を脱いで上がる。 ①まずは、大紅蜜柑が3個出てきた。 最近の品種で皮が薄く、酸味が強いがいかにも柑橘類という爽やかさがある。それぞれの料理の間の好きな時に召し上がってくださいとのこと。 ②ウェルカムドリンクは、甘みのある田芋のジュース。 生姜汁を加えてあるのですっきりする。田芋は里芋の一種で、沖縄地方で栽培され、里芋より味が濃く粘りもある。米作以前のこの地の主食とも言われ、琉球料理の始めに相応しい一品である。 ③不断草の白和えと蔓紫の酢の物である。 不断草は沖縄では冬に栽培される葉物野菜である。店の方の話ではほっぽっていても途切れることなく生えてくるので不断の草ということである。 蔓紫は三杯酢に浸してある。ぬめりが特徴だが、勧められるままに三杯酢をゴクリと飲むが、酸の刺激がわずかで喉越しも良かった。 ④そして「ぽうぽう」と呼ぶ細い生春巻きが出てきた。中身は茹でた豚肉を擦り潰して白味噌を加えて炒めたものである。餡より皮の量の方が多いが、餡の味がしっかりしているので、歯切れの良さを楽しめる。 ⑤「なかみの吸いもの」の「なかみ」とは、豚の胃や腸を丁寧に切り分け、何度も洗うなどして下処理し、柑橘類の一種である「九年母」の皮や生姜などと共に煮て臭みをとる。それを鰹出汁と豚の出汁で作る吸い物の具として用いるのである。他店のメニューでは「中身」と書く。 実のところ、豚の内臓は下処理が完璧すぎて、噛み心地だけが僅かに残っているという感である。なお、香り漬けに「フィファチ」という沖縄の胡椒を使っているとのこと。 ⑥撮影を失念したのが「芋くずあんだぎい」である。「芋くず」とは芋から採った澱粉のことで、これを水でとき、蒸した紅芋と一緒につぶして塩を振り、小さな球状に丸めたものを、少し押し潰して油で揚げる。普通のあんだぎいは中までサクサクであるが、並と違うのは内側にねっとりした部分があることである。 ⑦朱盆の三点盛り、黒いのは「みぬだる」で豚肉に黒胡麻をまぶし、豚肉の白と胡麻の黒の対比と両者の甘みが面白い。「みぬだる」とは「簔」の形状からくる名称とのこと。真ん中の黄色は金柑の甘煮だが、食べやすくするため押し潰して平たくしてある。沢庵のような「地漬」は単なる塩漬けではなく、黒糖で味付けしてあるので酸味が少なく穏やかな味となっている。 ⑧らふてぇは、仲居さんの言葉通り、箸で縦に割ることができた。それほど柔らかに煮込んである。泡盛、醤油、砂糖で二日間も煮込むとこういう味になるのかと感心した。皮まで柔らかいというのは初めての経験である。添え物のゴーヤは歯切れの良さを残しておきながら苦みを感じない。ここで結論じみた話を書くのは憚られるが、泡盛、醤油、砂糖に味噌醤油と塩だけでこれほどの調理が出来ることに驚くのである。 ⑨うじら豆腐 水を切ってよく絞り、すり鉢で擂りキクラゲの微塵切りを加えて、形を整え油で揚げたもの。単純塩味である。 ⑩耳皮のさしみ 沖縄では酢の物をさしみと呼ぶ。豚の耳とほほ肉を炭火で焼き、次に水炊きしたものに塩を振り、一晩置き、その後に塩抜きして南京豆と胡瓜で和える。手間のかかかった一品である。 ⑪昆布いりち いりちとは沖縄の言葉で炒め物のことで、この昆布いりちは沖縄では一般的な料理である。 ⑫とんふぁん(豚飯) 豚肉、人参、青蒲鉾を賽の目に切り、ご飯に散らせてだし汁を掛けて頂く。 ⑬パパイヤの糠漬け ⑭黒糖羊羹 ⑮冬瓜砂糖漬け 最後の方は、説明がないのは私が飽きたからである。許してほしい。なお、細々と書けたのは食事の最後に「美榮の琉球料理・ご案内」という説明書きを参照できたからである。なお、⑬以降はその説明書きには載っていない。 以下、ご参考まで 沖縄の建物は住宅であってもコンクリート比率99%を越えていて、住宅は平屋が多い。台風の対策である。ところがこの店は住宅風の木造二階建てで非常に珍しい。玄関を入ってすぐ左の部屋は船底天井であるが、二階建ての一階なのにわざと天井に傾斜を付けた設計である。 板の間に椅子席であるが、以前は畳敷きであった。そしてその時に使っていた座卓に脚を継ぎ足して使っている。
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『2020年 タベアルキスト和久井の印象に残ったこの10軒』 9軒目 那覇市久茂地オフィス街の路地裏に建つ歴史と伝統を受け継いだ琉球料理店。 1957年に沖縄の食文化に詳しいエッセイストで評論家の古波蔵保好氏が那覇市美栄橋に創業し、その後60年に久茂地に移転し現在に至る。 なお店名の「美榮」は開業時の地である美栄橋町に由来する。 店内は、まるで時間が止まったかのような空気感で、琉球漆器の器や壺屋焼の酒器などが部屋を飾る。 部屋数は、1階のテーブル席1部屋と2階の和室4部屋の個室5部屋となっている。 目でも楽しめる料理は、昼、夜ともにコース料理のみ。 美しい朱塗りの盆や味のある琉球漆器盛り付けられた料理は、出汁や素材本来の味や香りを十分に堪能できる逸品ばかり。 ●モーイの豆腐 いばらのりという海藻を使ったやんばるの行事食として古くから伝えられてきた伝統料理。 寒天寄せのような食感で口当たりは滑らか。磯の香りが食欲を誘いさわやかな味わいが楽しめる。 ●金美人参の煮付け 雑味のない味付けが、人参独特の香りが薄い金美人参の甘さをより際立てている。 ●ぽうぽう メリケン粉を水でといたシンプルな生地に甘めの肉味噌を包み、棒状にクルクル巻いたもの。 モチモチの薄生地に肉味噌のコクが見事にマッチしている。 ●なかみの吸いもの 丁寧に下処理を施した豚の胃袋と腸を鰹出汁と肉出汁の合わせ汁に添えた椀もの。 臭みは皆無で味わいはあくまでも淡白。あっさりと澄んだ上品な味わいは意表を突かれるほど。 ●芋くずあんだぎい さつま芋の澱粉を水でとき、蒸した紅芋と一緒に潰してからこね合わせて塩を加えてさっと揚げたもの。 表面はサクサク、中はモチっとした食感で甘さは控えめなおやつ感覚でいただける逸品。 ●みぬだる、昆布巻き、地漬の三点盛り みぬだるは、黒胡麻で覆われた真っ黒な豚肉の姿が蓑のように名付けられた逸品。 豚肉の断面は白く、濃厚な黒胡麻と対照的なしっとりした上品な旨味が印象的。 昆布巻きは、甘さ控えめで昆布の旨みがカジキの旨さを引き立てる。 ちなみにカジキは石垣島で水揚げされた物を使用。 地漬は、大根と瓜を塩で下漬けした後、黒砂糖で漬け込んだ保存食。 口に含むと広がる黒砂糖が変化した独特の味わいが特徴。 ●らふてえ 三枚肉をゆでこぼし、醬油、泡盛、砂糖で2日がかりで甘辛く煮込んだ琉球料理を代表する逸品。 脂身が唇に吸い付くほどとろける食感が印象的で、脂っこさやしつこさをまったく感じさせない。 澄んだ旨味と鼻に抜ける泡盛の香りで余韻も愉しむことができる。 ●ミミガーの和物胡瓜ピーナッツ和え 下処理し塩漬けしたミミガー塩抜きし、南京豆と胡瓜ともやしと和えたもの。 甘みと酸味のバランスが良く、コリコリとした食感が楽しい。 ●昆布いりち 美しい包丁さばきにうっとりする昆布いりち。 柔らかい昆布は口の中で溶けるようで、旨味の深さに思わずうなるほど。 ●豚飯(とんふぁん) 小さく切った肉、ニンジン、かまぼこなどを豚汁で炊いたご飯に、鰹出汁のきいた汁をかけて食べる料理。 円やかで優しい味わいは締めに相応しい。 ●ぬか漬け 青パパイヤのぬか漬け。 酸味の爽やかさ素晴らしくシャキシャキの食感が心地良い。 ●冬瓜漬 琉球王朝時代から王府や冊封使へ提供した琉球伝統菓子。 冬瓜のみずみずしい糖蜜の甘さが溢れだす良い味わい。
琉球王朝時代の琉球宮廷料理を頂ける一軒家料亭、創業60年の、『美榮』。 趣きのある佇まい、一度行ってみたかった憧れ店に懇親会で利用する機会に恵まれました。 お料理はコースで¥7000~2000円刻み。宮廷料理らしく、美しい焼き物と漆器に盛られます。 県産の上質な食材を少量ずつ丁寧に調理した品々は料亭らしく目に嬉しい美しさ。 全て上品なお料理、素晴らしく美味しい。 泡盛は古酒を含め泡盛マイスターがセレクトした極上品。 大切な方のご案内や両親を連れて行きたくなるお店です。
【美榮】沖縄の歴史を紡ぐ琉球宮廷料理の名店は味の引き出し方が巧くどれも絶品! 本日訪問したのは美榮。 美榮は沖縄県那覇市に位置する琉球宮廷料理を提供するお店です。 「宮廷料理」とは、琉球王朝時代に中国の使者をもてなすための料理。そのため中国の食文化の影響を多大に受けています。そんな格式高い琉球宮廷料理を、歴史を紡いで紡ぎながら提供し続ける美榮は、創業から60年が経過する老舗で今では沖縄で数少ない本格的な琉球宮廷料理を食べれる1つのお店です そんな歴史高い沖縄の伝統的な食文化を食べるため今回はランチを予約しました。 先付 苦菜のスーネー 少し苦菜のみずみずしさがと苦味が強めにでた白和え。 豚レバーの酢味噌和え これはなかなか癖があり凄い。レバーの風味がガッと伝わり、酢味噌も強い ナカミ 豚の腸のお吸い物 見た目からインパクトある一品。豚の腸は出汁もしっかり取れており、もちっとした食感も美味しさがあり臭みを感じさせない美味しさ。鰹と豚で採った出汁が素晴らしい 芋くずアンダギー 芋とくず粉を合わせた一品。表面はサクサクとしており中はもっちり。余計に味付けをせずに素材の良さを楽しめるところが良いですね。 ラフテー うずら豆腐 ゴーヤー炒めもの ラフテーはとてもコラーゲンたっぷりで脂身の溶け感がとにかく素晴らしい。ゴーヤーも程よい苦味で、うずら豆腐はあっさり。全体のバランス感が良いです。 ミヌガル 豚ローストと黒ごまの蒸料理。黒ごまの風味とロースト豚が相性の良さを出している もうい豆腐 海藻と炒めたもので寒天は使っておらずに固まっている。海藻の風味が非常によく残り素晴らしい。 島大根の黒糖付 ジージキ これも黒糖がしっかり感じる美味しさで、島大根と相性か良い ミミガー和え物 ミミガー、もやし、きゅうりをピーナッツのタレで和えている安めの食材の組み合わせながら、ミミガーの淡白すぎるデメリットをもやし、きゅうりの食感、ピーナッツが巧く相互関係を作り美味しさに変えている トンファン お茶漬け。出汁は鰹と豚出汁。ふっくらとしたご飯と出汁がとても良く合う。 青パパイヤぬか漬けは独特さもあるが美味しい。 冬瓜漬けとちんすこう 野菜を材料にしており、王族の献上品とされていた。べっこうあめのような美味しさで中はみずみずしい。ちんすこうはラード、小麦粉、砂糖を使っておりこれもサクサクで美味しい 以上でオーダーは終了。巷の沖縄料理はなかなか料理の創作に欠けている面もあり、満足しておらず、琉球宮廷料理も経験の一つ、、、なんて思って居るところもありますが、頂いてみると歴史をしっかり紡ぎながら、素材の良さを引き出す組み合わせ・調理法で抜群の美味しさにとにかく驚きました。沖縄料理は黒が多く映えないところはありますが、イメージを払拭する美味しさですね。 今現在、本格的な琉球宮廷料理はここ美榮と赤田風くらいでしょうか。大切な歴史ながらにここまでお店の数が少ないのが非常に気にかかります。一人でも多く琉球宮廷料理を引継いでいただける方が出るよう、美榮さんと赤田風さんには願望も込めて期待したいです。ご馳走様でした。 __________________________________ 【旅行が100倍楽しめる】旅行で絶対に訪れるべき最高の食体験が出来る全国各地のレストラン https://eatery-japan.com/eateries/1490/reviews/5083 __________________________________ #eatery_japan #eaterist_kenta #アドレスホッパー #グルメ旅行 #グルメ旅 #食べログ高評価 #グルメ好きな人と繋がりたい #飯テロ #グルメ #グルメ巡り #グルメ部 #食べログ3点5以上 #食べ歩き #eatery #eaterist #foodstagram #グルメな人と繋がりたい' #美味しいご飯 #食べロガー #食べるの好きな人と繋がりたい #沖縄料理 #琉球宮廷料理 #eatery_okinawa #eatery_washoku @eatery_japan #沖縄旅行 #那覇旅行 #沖縄グルメ #那覇グルメ
お年を召した方も同席だったので、ランチの5500円品数7品をいただきました。 しいたけの豆腐餻煮 雲南百薬の酢の物 なかみのお吸い物 いもくずの紅芋アンダギー たいも唐揚げ ミヌダル (ロース肉に黒ゴマだれで蒸す) キンカン蜜煮 ラフテー うぢら豆腐 ミミガーときゅうりのピーナツ和え 黒糖寒天 キレイな個室に通していただいて落ち着いたこころもち。一品一品は小ポーションでとてもシンプルですが、丁寧に作られた料理に驚かされました。味ももちろん、食文化も頂く よい昼ごはんとなりました。ごちそうさまでした。