午後 五時半 天神駅から 空を見上げると もう暗い 闇を背景に ゆっくりと旋回する 飛行機に縛られた赤色の閃光灯を 目で追うと 立派な建物に棲みついた 光の装飾へと消えていった。 街は休日で賑わっている。 リズミカルな人の足音と 1オクターブ高い人の談笑が 薄桜で編まれたように 行き交う人達が 輝いている。 人の鼓動が より一層に美しく思える季節が 始まったのだと 確信した瞬間だった。 ・前菜 山形 栗の渋皮煮 大分 銀杏 福岡 朝倉の落花生 おおまさり 福島 あんぽ柿とチーズ和え 新たな季節を感じさせる前菜ら。 美食に相応しい顔ぶれ 美味。 ・刺身 福岡 鐘崎のクエ 大分 ミズイカ 鹿児島 ハガツオ 鳥取 チビキ 長崎 ダルマ鯛 福岡 糸島 またいちの塩 清水寺の舞台で舞っているような 存在感。 刺身好きの私にとっては 溢れんばかりの 完璧な演出だ。 ・茶碗蒸し 北海道 タラ白子の茶碗蒸し 特大の白子を割り、口にすると 限りなく濃厚且つ溶け込む白子に 甘えてしまいそうだ。 魚介の深みある出汁も良い。 ・揚げ物 福岡 相島 サワラの揚げ 焼いた後、揚げる手間に 愛情を感じる。 サワラも野菜らに囲まれ 喜んでいるようだ。 自家製肉味噌とカラスミを 触れると料理の独創性へと 意識が飛ぶ。 ・サラダ 長崎 対馬のカジキマグロ 佐賀 イチジク バルサミコ酢を効かせながら 個が生かされる。 さりげないナッツが舌をせかす。 これほど美味いサラダを いただいたことがない。 素材が企んだ悪戯なサラダ。 ・メイン 福岡 鐘崎産クエ 梅のあんかけ 軽く表面に火が入っている。 壮大な身の大きさ。 これほど豊かなクエを いただいたことがない。 贅沢過ぎるほどの、きめ細かさ そこに酸味が効くあんをかけ 中華的な風味で更に楽しむ。 表現のしようがなく ただ至福に浸るだけだ。 現代語を使うなら 「やばい」だ 。 ・飯物 大分 ムカゴのご飯 旬を米に乗じた素晴らしい飯。 不意に懐かしさが胸をめぐらせる。 メインの梅のあんかけと漬物を 飯に乗せいただくと 瞬く間に気品が 飛び散る。 ・デザート 大分 カボスのアイス 口に広がる大分の甘酸っぱさ 凍った皮が凛として さりげなく頂に立つ。 頬が緩む。 ・酒 島根 純米吟醸 王祿 生原酒 広島 純米吟醸 宝剣 佐賀 純米大吟醸 鍋島 魚の本性を見せられた 魚のフルコースは 潤沢過ぎるほどの美味。 違いを舌で主張させる。 店主の想いがあるからこそ 成せる業。 「美しい」 私はそう思った。 【 大どころ 】 海を心得た 店 扉を開け店を出ると 現実に戻った。 細長の窓から見える さっきまで居た 店の世界に 心引きずる。 「11月」 「冷えてきた」 「あたりまえか」 「もうすぐ冬だ」 あなたのコート姿に こっそりと 見惚れる 私の、ささやかな楽しみ 私の、ささやかな 「秘密」 誰も知ることはない 「12月」 「長い冬が」 「始まる」
口コミ(15)
オススメ度：82%
口コミで多いワードを絞り込み
誕生日に連れて行ってもらいました。 お魚のコースでした。 ひとつひとつ素材から食べ方まで拘りが！ 特にお刺身がしっかり量もあって満足。 ご飯はおかわり出来たけどお腹いっぱいだったのが残念でした。 カウンターだけと思ってたら、奥に個室もあるとか。 落ち着いた雰囲気も素敵でした。
夜はコースが3種類 お腹いっぱいで食べきれせんでした… 一つ一つ丁寧にカウンター越しのキッチンから作られていました。 説明も産地や食べ方を教えてくださり丁寧でした。 予約は1ヶ月前から。 予約しておいた方が良いと思います。 私が伺った金曜日は予約で埋まっていました。 カウンターは狭くなく、うるさくもなく雰囲気も良かったです。 ごちそうさまでした。
今泉の路地裏に隠れている、まさに大人の隠れ家という店。創作和食店というよりも、肉でも魚でも美味いものなら何でも出す、福岡ならではの高級割烹居酒屋。 照明の落ちた雰囲気や、食器ひとつひとつのテクスチャー、料理のプレゼンテーションなど、どれも落ち着きがあってセンスが良い。必要以上に調味をせず、素材の良さを引き出した料理も好印象。知っておいて損のない佳店。
2年前位に訪問。 食べる前から美味しいお店。器や盛り付け方 視覚から楽しめます。落ち着いた雰囲気の中食事ができる。ちょっとお値段張りますがそれなりの物が提供されるという感じ。おすすめです。
