
最初にメガネを作ったのは高校生の時だったか。いつものように書店巡りをしていて、立ち並ぶ文庫本の背表紙を眺めていたら、眼の端がふらふらっと揺れるような、軽い目眩が起きるようになったので、眼科でしらべてもらったら右眼はひどい近視、左眼はひどい乱視としらされ、
「メガネ使わなきゃ悪くなる一方だよ」
と医師に宣告されたからである。致し方なく、京王線調布駅前にあった眼鏡店で作ってもらったのだ。当時はまだチェーン店などない時代だったから、高価でとてもものものしい過程を経た上に、何日もかかって出来てきたのを覚えている。
以来、40年近く眼鏡ユーザーだし、運転免許も眼鏡等で登録されている。途中、コンタクトレンズを検討した事もあったが、ズボラな性格ゆえ管理が悪くなりそうなのと、そもそも怖いではないか。したがってメガネのまま来てしまっている。
正月休みのことだが、メガネを壊してしまったのだ。私がうっかり床の上に置いておいたのに、息子が気づかずに踏んでしまったのだ。おっとっと、まぁ私がいけないのだから仕方がない。レンズまで傷めたわけではないので、しばらくそのまま使っていたのだが、鼻あてが曲がってしまったのでレンズとほっぺたがくっついてしまう、ツルが半分折れてしまっているので耳に引っかかって痛い痛い。フレームも微妙に歪んでいるので、見え方が変になっていると、支障が多すぎるので変えることとした。
これでいったい何代目になるのだろうか。最初に作ったときは、ずいぶんと高かった気がした(買ってもらったものだけど)が、現代はタイヤかメガネか、というほど価格破壊が進んでいる。近在の商業施設にある眼鏡店ではレンズ・消費税込みで5500円で、しかもフレームもレンズも在庫があるので40分ほどで作ってくれるそうだ。いやはや、技術の進歩とはよいものだ。
で、その40分をいかようにして消費するか。
そのまま待っていてもよいのだが、どことなく間が抜けている。ではちょっとお茶でも飲みにいこうか、じつは朝食をとっていないのだ。軽くなにか食べたい気分でもある。ということでお邪魔したのがこちらだ。
「サイゼリヤ イオンタウン長野三輪店」
先だってある記事で読んだのだが、サイゼリヤはファミリーレストラン業界でひとり勝ち状態であるという。それはそうだろう、ちょっとした喫茶からディナーまで、コーヒー一杯からワインちょい飲みまで対応できるし、しかも安いとくれば言うことはないだろう。
「フリウリ風 フリコ」299円
どことなく、70年代場末のゴーゴー喫茶のような風の名称だが、フリウリとはイタリア北東部の"フリウリ地方"を指し、フリコとはこの地方を代表する料理である。本来は賽の目に刻んだジャガイモをチーズと混ぜ焼きにするもののようだが、サイゼリヤではマッシュポテトの上にチーズをのせ、グラタンのように仕上げている。トロりねっとりとした生地と、焼いたチーズがパリッと合わさってじつに美味い。となれば、フリコのお供にはこれが必要であろう。
「ガーリックトースト」189円
焼いたミニサイズのバケットに、ガーリックオイルたっぷり。ニンニクの香りがとてもそそられる。これにフリコを山ほど練りつけていただくと、とてつもない幸福感に誘われる。これで冬でなければもっとよいのだが。
新しいメガネは丸型の可愛らしいタイプとした。50もすぎた汚いオヤジが、可愛らしいもなにもあったものではないが、この際だからイメージチェンジを図り、新しい自分を見出そうという魂胆である。ジョン・レノンか永井荷風を想定したが、結局往年の鈴木ヒロミツとなってしまったが、なんとなく気に入っている。