穂高での用事ができた。 なにゆえ穂高かといえば、今年はまだ初詣をしていないし、神頼みをしなければならない事情もあるのだ。しかし、なにゆえ穂高神社なのか、それなら善光寺に、と考えないひねくれっぷりがわれながら変わっている。まぁどうせ休みだちんたら行こう。 朝早く出発して国道19号線を南下、明科で犀川を渡り国道147号線を左折して穂高へ。いざ神社へ、…の前に立ち寄ったのが 「井口喜源治記念館」 明治から昭和初期までに活動した、穂高出身のキリスト者、教育者を顕彰してつくられた施設。臼井吉見「安曇野」に登場する人物という事くらい程度の知識しかなかったのだが、初めてその功績に接して驚いた。たしかに目立つのは私塾「研成義塾」での教育活動くらいなのだが、そこから輩出された人材がすごい。彫刻家 荻原禄山、評論家 清沢洌、ワシントン靴店を創業した東條たかしなどがいる。そして喜源治を生涯後援した相馬愛蔵は新宿中村屋を創業した人物で、クリームパン、中華まんを開発したりした半面、インド独立運動を後援したり、中村屋サロンは、当時の帝大閥とは違うインテリゲンチャの潮流を作り上げた。などなど。しまったァァァァァァァァァ!また予備知識なしに接してしまった。せっかく館長さんに案内までしてもらったのに。 ごめんなさい、もう少し勉強してから出直してまいります。と、深々あたまを下げて穂高神社へ。平日であるのにけっこうな人出だ。一拝ニ拍手ニ拝というのは他と少し違うような気がするがよくわからない。あああ、ここでも知識不足となってしまった。早々に調べないと。 本当はこのまま友人宅へお邪魔する予定であったのだが、現在東京におり帰って来られなくなったとの事(ああコロナめ!)だからそのまま帰宅することに。そうだ、お土産を買いにいこう。という事でこちらも久しぶりにお邪魔する。 「小笠原わさび店」 穂高神社の目の前にあるわさび漬けの老舗だ。よく手入れされた南京下見張りと漆喰による白と黒の外観は、ほどよい重厚感と優しさに包まれて、教え子たちに生涯慕われた井口喜源治をなんとなく思わせるようだ。 「わさび漬け(包み)200g」860円 そこいらのスーパーで売っている甘々なもの(あれはあれで風情があるのだが)とは一線を画するわさび漬けだ。わさび、塩、酒麹のみで作られたわさび漬けは正しくハードな作りといえる。化粧箱入りもよいが、おばちゃんがザッとビニールに巻いてくれるのがよい。ざく切りにされたわさびはハッキリと辛い。辛いがこれがメシによく合うのだ。海苔に巻いてよし、熱いメシに乗せて熱い茶をかけてわさび茶漬けもよし。 セロリを酒粕で漬けた「セロリ漬け」という魅力的な品もあったが、また塩分がどうのとクレームをつけられるのも嫌なので取りやめとする。穂高もこれくらいで去るのももったいないが仕方がない。またお邪魔するとしよう。
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