うなぎ狂の私が「クリスマスこそ鰻屋へ行け」と断言する理由

2016/12/16 笹山 美波

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ライター紹介

笹山美波

『東京右半分』に生まれ育つ。編集記者を経て、Webプロデューサー、ライター。東京と食に関連する歴史/文化/文学/お店を調べるのがライフワーク。鰻については今や他人に引かれるほどのオタクに。

鰻のことを想うとうっとりする

鰻…。ひとたびその言葉を発すると、醤油とみりんの甘辛いタレ、弾力のあるプリプリとした身とジューシーな脂の旨味を思い出し、「ああ、食べたい」と頭も口の中も鰻への思いでいっぱいになってしまいますよね。つい鰻屋に駆け込んでしまったりもして。

筆者は鰻が大好物。子供のころ、近所の天ぷら屋でたまに両親と食べるうな重が大好きでした。

大人になって、色んな店でさまざまな鰻料理を食べるにつれ、その奥深さのとりこになってしまうとは思ってもいませんでしたが……。

▲私の鰻コレクション

お店で食べるのだけが好きなわけではありません。鰻の生態のほか、鰻が登場する落語や文学まで、鰻にちなむものなら何だって調べてうっとりとしています。

▲日本大学生命資源科学部に飾られている鰻のオブジェ

機会をいただき大学の研究室やシンポジウム、調査船にも伺わせて貰ったりもしており、もはや“鰻狂い”といったところでしょうか……。

▲日本大学で開催された国際うなぎシンポジウム

そうそう、太宰治の『メリイクリスマス』の作中には、男女で鰻の串焼きをクリスマスに半分こして食べるシーンがあります。これがなんとも言えない情緒があって、大好きなんです。

クリスマスにこそ鰻を食べてほしい

ところで、みなさんは毎年クリスマスにはどんな料理を食べていますか? フレンチ、それともイタリアン? お家でローストビーフを作るのもいいですね。

けれども、たいてい似たような食事になってはいませんか? 美味しいごちそうを食べたいけれど、今年はちょっと趣向を変えたいという方におすすめなのが、そう、鰻です。

鰻というと、決まって「夏の土用の丑」に召し上がる方がほとんどだと思いますが、冬に食べたって良いんです。

意外かもしれませんが、スペインやイタリアではクリスマスに鰻をアヒージョやトマト煮込みにして食べられています。それに、そもそも鰻の旬は冬。天然の鰻は10月以降の寒い季節が一番脂がのっています。

しかも、クリスマスシーズンは洋食を食べに行く方が多いため、予約が取りやすい鰻屋も多く狙い目なんです。

クリスマスに鰻って、なんだか通な大人の楽しみっぽくてかっこいい(!?)。

さあ、想像してみてください。彼女に「クリスマスどこ行く?」と聞かれた際、「鰻でも行くか」と答えるご自身の姿を……! 私なら絶対クラッと来てしまいます。


クリスマスに行ってほしい鰻屋4選

関東風と関西風の食べ比べができる高田馬場「愛川」

さて、クリスマスにあえて鰻を食べに誘ったのだから、いつもと違ったお店へ行ってみたくもなりますよね。そんな方にまずご紹介したいのが、「関東風」と「関西風」の食べ比べが楽しめるお店。何にでも言えることですが、違いを知る大人はかっこいい。

都内でおすすめなのが高田馬場の「愛川」。

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愛川 東京(高田馬場) うなぎ  

こちらの「愛川」ではメニューをプラス100円で、「堅焼き」で頼むと関西風に、もしくは「白焼き」にしてもらうことができます。

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▲鰻重 菊 堅焼き

関東風は一度素焼きをした後、蒸してから焼くため、ふっくら上品な仕上がりになりますが、関西風は焼きのみで仕上げるので、香ばしくパリパリとした鰻を味わえます。

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▲白焼き 特 堅焼き

白焼きはお好みでワサビを付けて召し上がってみてください。直に感じられる旨味や脂に、鰻本来の魅力を感じられると思います。一緒にお店へ来た人と、別々の調理法を頼んでシェアしてみるのもいいですね。

鰻のフルコースを味わうなら池袋「かぶと」

かぶと 東京(池袋) うなぎ  

次に紹介したいのが池袋の「かぶと」。こちらのお店で味わってほしいのは、カウンターの目の前で繰り広げられる鰻の料理ショー! 

まだ生きている鰻がどんどん捌かれ、次々に串打ちされ焼かれる様子は圧巻で、これを堪能するためだけにでも行く価値大ありです。基本的におまかせのコース料理のためその分お値段は上がりますが、お財布に余裕があれば是非足を運んでみて欲しいところ。

コースの最初には、小骨のガリガリとした食感が楽しめる首の周りの「えり焼き」を、関東と関西の調理法で比べて楽しめるよう提供されます。

その後、とろっとろの脂ののった背びれをまとめた「ひれ焼き」や、中落ち部分の「ばら身」、白焼き、蒲焼きと順に食べていくのですが、この鰻だけで満腹になっていく感覚が本当にたまりません。

▲ひれ焼き

▲ひと口蒲焼き、おおかま、ばら身

▲白焼き(養殖)

▲蒲焼き(天然)

しかもなんと、ごくまれに天然の鰻が入荷していれば、養殖ものと比較ができる日に巡り会えるかもしれません。

ちょっとグロテスクかもしれませんが、希望をすれば生の鰻の頭の嗅ぎ比べもさせてもらえます。大将いわく天然の鰻のほうが「さわやかな香り」がするそうですが、私にはまだ修行が足らないようでした……。

リーズナブルな鰻の一品料理がおいしい新宿「うな鐵」

うな鐵 新宿 東京(歌舞伎町) うなぎ 丼もの 串焼き  

リーズナブルに、でも色んな鰻料理を楽しみたいという方には新宿の「うな鐵」が一押しです。

うな鐵では焼き鳥のようにいろんな部位を焼き上げた「うな串」を食べて、鰻をとことん堪能してもらいたいところ。おすすめは肝焼きとレバーの食べ比べ。

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▲肝焼、レバー

同行者に「肝とレバーって、同じじゃないの?」と聞かれたら、通を気取って「肝は内蔵の寄せ集め。苦くておいしいよ。レバーは肝臓だけで、とにかく濃厚なんだ」と答えてあげてください。こんなこと好きな人にサラッと言われたら、惚れ直してしまいそう。しかも1串220円~320円程度とお手頃です。


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▲うざく

ほかにも、酢の物風にさっぱりと胡瓜とともに食べられる「うざく」や、ごぼうを蒲焼きで巻いた「八幡巻き」、ふわふわの卵で鰻を巻いて焼き上げた「う巻き」など、さまざまな調理法で鰻を味わえます。

▲鰻 たたき

筆者のこのお店のお気に入りは、ポン酢で味付けをした「たたき」で、ほかのお店ではあまりお目にかかることができません。たっぷりとのせた生姜の千切りとともにさっぱりといただきます。

"ミルフィーユうな重"が絶品!神泉「いちのや」

[画像引用元:https://retty.me/area/PRE13/ARE8/SUB804/100000044278/5851892/]

いちのや 神泉店 東京(神泉) うなぎ  

「いやいや、クリスマスだからこそ贅沢にうな重が食べたい!」という方は、神泉にある「いちのや」で「弐段」を頼んでみてください。

弐段とは、その名の通りうな重を2段重ねにしたもので、一部では「ミルフィーユうな重」なんて愛称で呼ばれたりも(⁉︎)しています。

一段食べてももう一回うな重を食べられる夢のような一品で、 箸を入れてひと口取った瞬間に現れる、鰻、ご飯、鰻、ご飯の美しい層には、誰しも「わあ……!」と目を輝かせずにいられないでしょう。

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▲上うな重

これであなたも鰻通!お店での注文方法

秋本 東京(麹町) うなぎ 丼もの  

いつもの鰻屋でしっぽり、なんてクリスマスも良いかもしれません。けれども、鰻屋で日頃うな重以外のメニューを頼んだことがないと、ほかの料理を頼む順番が分からない方も多いのではないでしょうか。麹町の「秋本」にて実践例をご紹介しましょう。

秋本はミシュラン1つ星も獲得している老舗で、風情もあって筆者の仕事先からも近く気に入っており、たまのハレの日に伺います。

私の場合は、まず「うざく」と「きも焼き」を瓶ビールや冷酒とともに頼みます。

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▲うざく

冷菜として扱われるうざくはどのお店でも割と早く提供されるので、はじめにそれをちょっとずつお酒と一緒に楽しみます。

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▲きも焼き

そうこうしているうちに焼きあがるきも焼きは苦味が香ばしく、またお酒に合うんです。



きも焼きが出されたら、「うな重」と「肝吸い」を頼みます。このタイミングで頼むのは、大体30分ほどかかる鰻の焼き上がりの時間を計算したためですが、お店によってはもう少しかかるので、初めてのお店では店員の方に相談するのがおすすめです。

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▲うな重 鶴

秋本では、うな重の竹以上を頼むと鰻とご飯が別々に2段の重箱に入れられて提供されるのですが、蒲焼きを肴にじっくりお酒を飲めるので、酒飲みとしては心を鷲掴みにされてしまいます。白焼きを食べたい時やほかのお店では、鰻とご飯を別々に頼んでください。

▲蒲焼き ご飯 新香 肝吸

ちなみに秋本の蒲焼きは、絹のように口に入れた瞬間ほろっとほどけ、ねっとりとしています。こうして鰻に舌鼓を打ち、悦に浸る特別な夜も、たまにはいいものですよ。

クリスマスに鰻を薦める「もうひとつの理由」

実のところ、クリスマスという特別な日だからこそ鰻を食べてみては?とすすめるのには別の理由もあります。

いつも私達が食べている鰻はニホンウナギと呼ばれる品種で、国際自然保護連合により絶滅危惧種に指定されているのは有名な話かもしれません。鰻が住む海や川の環境が変化したことも原因の1つではありますが、その一番大きな原因は乱獲です。

土用の丑の日に、安い値段で大量に並ぶスーパーの鰻の蒲焼きを思い出してみてください。実は、我々が鰻をある時期に集中して、しかも安くたくさん食べようとするがゆえ、お店側の鰻の薄利多売を促していると言ってしまっても過言ではありません。

鰻は養殖できるとはいっても、卵から孵化させて育てる完全養殖の技術がまだ実験段階のため、今現在は天然の鰻の稚魚を育てて成魚にしています。それゆえ魚の数には限りがあると知られているにもかかわらず、大量に水揚げされてしまう問題が続いているのです。

完全養殖が実用化されるまでこの状態が続いてしまっては、鰻は本当に絶滅してしまうかもしれません。ですから、鰻は土用丑に限らず、あなたにとって大事なハレの日に、お店でちゃんとしたお金を払って大切に食べて欲しいのです。できれば、その尊い鰻の命に思いを馳せながら。

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