ちっぺ@向島! 「玉の井」とならぶ旧赤線街「鳩の街」の路地裏に、素晴らしきお店を発見! 永井荷風や吉行淳之介が闊歩したこの街をときどき練り歩くのが好きで、偶然見つけて入ってみたのだ。 カウンターだけの小さなスナックのようなお店。 女将さん一人でやっている。 カウンターには、常連のオッサンが数人楽しそうに呑んでいた。 常連さん達に会釈をしながら、カウンターの空いてる席に腰を下ろした。 キンミヤのボトルがあったので、すかさず注文した途端、常連さん達から質問責めにあう。 家は近いのか?仕事先はどこだ?干支はなんだ?なぜ、こんな店に入ってきた? というような事を矢継ぎ早に質問されたので、自ら自己紹介を兼ねて話した。 こういう粋な下町の酒場にたむろする常連のオッサンは、だいたい良い人が多い。 「ちっぺ」という店名は、女将さんの子どもの頃からのあだ名だという。 常連さんのオッサンの中には、その子どもの頃からの幼馴染みが多い。 そんな話をしていたら、ランニング姿のオッサンがフラっと入ってきて、製氷機から氷をボウルに入れて帰っていった。 近くに住むちっぺのオジさんらしく、家飲み用の氷を夕方になると持っていくのが日課らしい。 そんな下町情緒がハンパない店だが、仲良くなった常連さんによると、煮込みともつ焼きが絶品だから食べていけと促される。 レバーはエッジが効いてサクっとした食感が歯に伝わる程新鮮で、煮込みもイヤな臭みがない。 女将によると、毎日新鮮な内臓肉を品川から購入しているという。 ボクが頼んだレーズンバターと物々交換に、常連さんが頼んだキューリのぬか漬けをお裾分けしてもらった。 そのキューリのぬか漬けがずば抜けて美味しい! 最近、ボクもぬか漬けを初めてハマっている話で盛り上がった。 最後にぬか漬けの秘訣を聞いたら、 それはスーパーのぬか漬けよー と、ちっぺが笑った。 気がついたら、4時間半以上呑んでいた。 表に出ると6月の夜風が淫靡な湿り気を帯びてボクの顔をなぞる。 「鳩の街」を去るときの何とも言いようのない刹那だけが残る。
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