先付けに、四種の野菜の煮物が出てきた。隠元豆独特の香りが濃く鼻に届く。野菜の匂いをこんなに鮮やかに感じたのは実に久方ぶりである。あの青い香りを出すためには、煮るのではなく蒸しているのであろうか。蓮根はその持ち味のさっくりとした歯応えを保ちながらも根菜の持つ土の匂い、暖かさを伝えてくれています。茄子はお約束通りに出汁をたっぷりと吸い込んでいますが、決してスポンジーではなくて果肉もしっかりとしています。どうやって煮たら、各々の野菜の背筋がピンとさせることができるのでありましょうか。 蕎麦つゆのような濃い醤油の出汁に野菜がその身の三分の一ほど浸かっているが、各々の野菜はこれとは違った出汁で炊いてある。その味の濃さの対比がうまい。 どんぶりが来る前に、お新香。牛蒡の味噌漬け、胡瓜の糠漬け、白菜の塩漬けの丸い小皿。その横にマッチ箱のような小振りの四角の皿には擂り下ろした山葵に、炒った白胡麻が振ってある。 どうぞとやってきたどんぶりの上には、鮪、鯛、寒鰤の刺身が味付けされて三、四切れずつ載せてあり、それらの上に長葱と茗荷を非常に薄く削いだように切った輪切りを摘んで山の形に盛って、細めの浅葱を切ったものをぱらぱらと零してある。更には醤油漬けのイクラ、それらは丸で糸の切れた真珠の首飾りのの珠のように散らばっております。 鮪は、大トロ、中トロ、赤身と三段階の脂の甘みが楽しめるバリエーションになっています。下味がついていると申し上げましたが、なんのソースなのか、私にはわかりません。話が飛びますが、赤だしの黒七味の香りと刺激がこれほど引き立った料理は食したことがありません。黒七味汁と申し上げても宜しいのではないかと思いました。 刺身を一口食べた後に、ご飯にお箸を向けて気がついた。卵黄がご飯にまぶしてあるのだ。ただの醤油ご飯ではなくて、卵かけご飯なのだ。ニッポン人のDNAに刻み込まれた生卵の受け入れ態勢で降参してしまった。頰が緩みます。目尻が下がります。口角が上がります。 あっという間に平らげてしまって、デザート。嶺岡豆腐にラフランスの一切れが浮かべてあります。 ラフランスはご存知、洋梨の高級品。「フランス」と名前がついているくらいでフランス生まれですが、栽培が難しいので本国のフランスではもう作られていなくて、日本人がそのバトンを引き受けて作っていると日曜日の某ラジオ番組でお話ししておりました。銀座で食べるのに相応しい果実であります。 嶺岡豆腐というのは、ミルク豆腐でして牛乳の甘みでニッコリします。なんで嶺岡豆腐というのかはネットで検索してください。私もググってみて初めて知りました。
Hitoshi Tanakaさんの行ったお店
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Brooklyn Parlor SHINJUKU
新宿三丁目駅 / カフェ
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おにやんま 五反田本店
五反田駅 / うどん
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- ~1000円
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CICADA
表参道駅 / 無国籍料理
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- ~10000円
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日本橋 天丼 金子半之助 日本橋本店
三越前駅 / 丼もの
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- ~1000円
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すごい煮干ラーメン 凪 新宿ゴールデン…
新宿三丁目駅 / ラーメン
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六厘舎 東京ラーメンストリート
東京駅 / つけ麺
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本家 第一旭 本店
京都駅 / ラーメン
- ~1000円
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つけ麺 五ノ神製作所
新宿三丁目駅 / つけ麺
- ~1000円
- ~1000円
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肉の大山 上野店
上野駅 / 洋食
- ~1000円
- ~2000円
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Pizzeria e trattoria da ISA
中目黒駅 / イタリア料理
- ~2000円
- ~4000円
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GURGAON
銀座一丁目駅 / カレー
- ~2000円
- ~4000円
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アンティーカ ピッツェリア ダ ミケー…
恵比寿駅 / ピザ
- ~2000円
- ~4000円
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銀座 佐藤養助
銀座駅 / うどん
- ~2000円
- ~2000円
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カナルカフェ
飯田橋駅 / カフェ
- ~3000円
- ~5000円
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丸鶏 るいすけ
西新宿駅 / 焼き鳥
- 営業時間外
- ~4000円
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鶯谷園
鶯谷駅 / 焼肉
- 営業時間外
- ~6000円
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黒毛和牛バーガー BLACOWS
恵比寿駅 / ハンバーガー
- ~3000円
- ~4000円
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山東 1号店
元町・中華街駅 / 中華料理
- ~2000円
- ~3000円
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ジャッキー ステーキハウス
旭橋駅 / ステーキ
- ~3000円
- ~3000円
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あつた蓬莱軒 本店
熱田神宮伝馬町駅 / うなぎ
- ~5000円
- ~6000円