
【ふらっと鹿島】
アントラーズの試合があるようで、早朝の東京駅発のバスは赤いユニフォーム姿の方がちらほらと。私はスタジアム手前のバス停で降りて鹿島神宮にお詣り。雨がそぼ降る鹿島の森はより一層厳かな空気が漂います。
ひと通りお社にご挨拶した後に予約しているランチのお店へ。30分ほどバスに揺られます。地方の公共交通機関あるあるですが、本数が少なくてお店の開店時間に合わせるのが難しいんですよね。最寄りのバス停に着いたら開店まで30分弱。前もって場所だけ確認しようとお店の前に向かうとお客さんが入店するところに遭遇。暖簾は出ていませんが戸が開いていたので声をかけると定時前に通していただけました。これはついてる!
座敷に通されひと心地。鰻は予約時に頼んでおいたので、早々にビールをもらいます。あらかじめセットされているお新香でグイっとやっていると、女将さんがいらしてお通しを出していただきました。って、マグロの大トロに鰻の洗い⁉︎『端っこの余ったところですみません、雨の中ありがとうね』ってすっかり恐縮です。これは日本酒だ!
頼んでおいた『桜うな重』が出たところで若女将にお酒をお願いすると、なにやらメニューに載っていない地酒があるからよかったら店主と一緒に見てくれとのこと。玄関口の業務用飲料冷蔵庫の前まで案内されると各地のレア銘柄が出るわ出るわ!十四代に亜麻猫、新政カラーズコスモス、九平次濁り酒、黒龍の貴醸酒、村祐年に一度の限定酒などなどなど。え、ここ鰻屋だよね⁉︎と目を疑うほどの驚愕のラインナップです。
そんな中からチョイスしたのは『宮泉 純米酒』。会津の冩樂を醸す蔵の一本。お初にお目にかかります。味わいの輪郭がはっきりした米の味わいが立った一杯。どっしりと脂ののった大トロ、コリコリとした歯応えで噛み締めるごとに旨みが溢れる鰻の洗い、そしてなによりキリっと辛めのタレを纏った鰻との相性は言うことなし。桜うな重はご飯の間にも鰻が隠れた二尾分入るボリューミーなもの。身はふっくらした歯ざわりで口に入れると途端にとろける柔らかさ。気持ち固めに炊かれた米粒にほどよくタレが回り鰻の味わいを下支えします。ついつい宮泉を飲み過ぎてしまいました。
〆はバニラアイスでさっぱりと。店主さんによるとお酒は地元の酒屋さんから仕入れているそう。お客さんに喜んでもらえそうな銘柄を揃えているとのことですが、なんとご本人は下戸だそう。お酒を飲めないのにこの品揃えの見事さは驚きです。
聞けば最初に見かけたお客さんはアントラーズの選手の方だそう。試合前にご両親をお連れされたそうです。店内にはサインがいっぱい飾られおそらく歴代のアントラーズの選手が来られているんでしょうね。
お会計を済ませこの後近くの温泉に歩いて行くことをご主人に伝えると、なんと車で送っていただけるとのこと。アントラーズの試合を見に行くので午前で終いだからとのことで、甘えさせていただくことに。初見の客にもこんなによくしていただきホント恐縮至極です。
決して賑わっているとは言えない鹿島の郊外にポツンと佇むお店。ですが予約なしではまず入れません。その理由は一度行ってみれば十二分に分かりますね。
家族経営で温かくもてなしてくれる心地よい時間を過ごせる良店。鹿島神宮さんのご利益をありがたくいただきました。
ごちそうさまでした!
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